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ドジャースの大谷翔平選手が日本時間20日のマーリンズ戦で50本塁打・50盗塁「50-50」を達成しました。歴史的な1週間を振り返ります。

■“翔平伝説” 歴史を塗り替え続ける

16日のブレーブス戦、ドジャースは連敗を止めたいところ。2点ビハインドで迎えた5回表の第3打席、二死、一三塁のチャンスで大谷選手に打席が回ってくると、初球を捉え、弾丸ライナーのタイムリーツーベースで1点を返します。

この打席の後、現地中継で流れてきたのは、「翔平伝説」。「彼はすでに1シーズンで30本塁打を達成し、10勝を挙げた唯一の選手だ。また、別のシーズンで30本打って100三振を奪ったのも彼だけだが、1球も投げることができなかった年に50本塁打と50盗塁? かなり伝説的だ。大谷翔平は1人しかいないことを日々思い知らされる」と賞賛。

アメコミ風のスーパーマンに扮した大谷選手が、メジャーの歴史を塗り替え続ける姿を紹介していました。

大谷選手の打席を多くのファンがスマートフォン片手に撮影する中、7回表、ランナー二塁一塁の場面で再びチャンスが訪れます。

大谷選手は同点に追いつくライトへのタイムリーツーベースを放ちました。外角低めの球に腕をいっぱいに伸ばして食らいつき、勝利への執念を見せて連敗ストップに貢献、地区優勝へマジック10としました。

■大谷50-50王手!山本は4回無失点の好投

17日の試合前、大谷選手はブレーブスのマスコットと楽しそうにじゃれあいます。先発は、ケガから復帰後、2度目の登板となる山本由伸投手。

1回裏、2アウトながら三塁一塁のピンチを背負いますが、155キロのストレートでサードゴロに打ち取り、無失点で切り抜けました。

3回裏、味方のビッグプレーも飛び出します。センターのエドマン選手からの見事な中継プレーがあり、セカンドのキケ・ヘルナンデス選手が素晴らしい送球で本塁タッチアウト。

バックに助けられた山本投手は、毎回得点圏にランナーを背負いながらも要所を締め、4回無失点でマウンドを降りました。

5回表、1アウト三塁一塁の場面で、ダブルプレーから逃れたい大谷選手は全力で走り、長い足を目いっぱい伸ばしてセーフ。この試合、ノーヒットに終わるも2打点をあげ、松井秀喜さんに次ぐシーズン108打点に到達。チームはマジックを1つ減らし、9としました。

18日に行われたマーリンズ戦の舞台はマイアミ。昨年3月、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で侍ジャパンが世界一を奪還したローンデポ・パークにやってきました。

4点を追う3回表の第2打席、大谷選手は50-50にまた一歩近付く、5試合ぶりの48号2ランホームランを放ちました。この一打で指名打者としてのMLBシーズン最多ホームラン記録を更新しました。

さらに、アジア出身選手の最多記録となる通算219本目を達成。韓国の秋信守さんが16年かけて積み上げた数字を、大谷選手はわずか7年で更新しました。

試合は乱打戦の末、ドジャースが敗れましたが、2位のパドレスも負けたため、優勝マジックは8に減りました。

大谷選手
「楽な試合があまり少ないので、本当に今日の試合を勝って1個でも多く首位を維持していく。早く優勝が決まるようにっていうのが一番です」

「(Q.50-50に向けてプレッシャーは感じている?) それはあまりないですかね。本当にいい打席を1打席でも多く重ねたい」

14日、ピッチャー大谷の今シーズン復帰について、ロバーツ監督が「確率は低いが可能性はゼロではない」と発言しました。このことを本人にぶつけてみましたが、大谷選手は「分からないです」と笑顔で答えました。

19日のマーリンズ戦前、大谷選手は山本投手と並んで投球練習を行いました。その後、ブルペンに入り、術後最多となる30球を投げ、最速150キロをマークするなど、リハビリは順調そうです。

大谷選手は二刀流復活への道を着実に進むなか、1回表には154キロのストレートをレフト前に運び、一塁へ。さらに初球から49個目の盗塁を決め、50-50達成へまずは盗塁で王手をかけました。

チームも3本のアーチで快勝し、11年連続90勝に到達。マジック7となりました。

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■前人未到!50-50達成

■前人未到!50-50達成

そして「大谷伝説」として語り継がれるであろう20日のマーリンズ戦。大谷選手は「一生忘れられない日になるんじゃないかな」と語りました。ベンチではバットを入念にチェックしていました。

1回表、スタジアムがまだ静寂に包まれる中、第1打席に立つ大谷選手。甘いコースのボールを振り抜くと、フェンス直撃のツーベースヒットで出塁します。

セカンドランナーの大谷選手がサードスチールを仕掛けます。際どいタイミングでも両手でセーフをアピールし、これでシーズン50個目の盗塁に成功しました。

この後、スミス選手のライトへの犠牲フライで、大谷選手が先制のホームを踏みます。イニング間には記念の三塁ベースが回収され、新しいベースと交換されました。

大谷選手は第2打席、ランナー二塁一塁の場面でライト前タイムリーを放ちます。ランナーの大谷選手は止まりません。この日、2個目の盗塁に成功しました。

現地実況も「あと10試合残っているし、60-60はどう?」とノリノリ。これでシーズン51盗塁。さらに、イチローさんが記録した日本人メジャー最多の56盗塁まで、あと5つに迫りました。

3回表の第3打席でもチャンスで大谷選手に打席が回ります。今度は左中間へ打ち返し、ランナーが2人返ります。さらに大谷選手は三塁を狙いますが、ここはタッチアウト。それでも、記録はタイムリーツーベースとなりました。

さらに、ショウタイムは続きます。6回表、大谷選手が高々と打ち上げた打球はライトスタンドへ飛び、球団記録に並ぶ49号2ランホームラン。50-50まであと1本となりました。

ドジャースの大量リードで迎えた7回表の第5打席では、1球目のフルスイングに球場がどよめきます。2ストライク1ボールからの4球目を逆方向のレフトスタンドへ運び、ついに50号ホームランを放ちました。現地実況も「唯一無二の選手による唯一無二のシーズンだ!ショウヘイ・オオタニが50-50クラブの扉を開いた!」と大興奮。

ベンチ前では、出迎えたチームメートたちと抱き合い、ロバーツ監督ともがっちりハグ。メジャー史上初、前人未到の50本塁打50盗塁「50-50」に到達しました。

ようやくベンチで一息ついた大谷選手は、驚いた表情を見せ、敵地でのスタンディングオベーションにベンチから出て手を振って応えます。さらに、グラウンドに向かって手を挙げる仕草も見せました。

実はこの時、ピッチクロックがストップしており、歴史的な瞬間をファンと共有してもらおうと、審判の粋な計らいがありました。記念品として野球殿堂博物館に展示するため、達成の瞬間に大谷選手が身に着けていたスパイクなど野球道具一式が集められました。

大谷選手は真新しい道具をつけて、9回表の第6打席に挑みます。マーリンズは大量リードを許していたため、登板した野手のブルーハン選手から51号ホームランを放ちました。自身初となる3打席連続アーチで、51-51を達成しました。

この日は6打数6安打・2盗塁・3本塁打・10打点という大暴れ。シーズン120打点に達し、松井秀喜さんを抜いて日本人メジャー最多の記録を更新しました。

WBC制覇の地で、自身初、そしてチームにとっては12年連続ポストシーズン進出を決め、記憶にも記録にも残る一日となりました。 大谷選手
「これだけ打てたことは人生でもないので、自分が一番びっくりしている」
「(Q.WBCと同じ球場で記録を達成?)一生忘れないと思います。去年もそうでしたけど、自分がプレーしてきた球場の中で好きな球場の一つになったのではないか」

試合後のロッカールームでは、ロバーツ監督から祝福の言葉が送られました。

ロバーツ監督
「みんな、グラスを持ったか?ベースボールが200年以上前からプレーされてきている中で、ショウヘイはベースボールで、これまで一度もなされなかったことをやり遂げた。本当に前例のないことだ。ショウヘイ、本当にすごいことをやった。君に乾杯だ。おめでとう。まだまだやるべきことがある。おめでとう。乾杯!」

大谷選手の念願だったポストシーズンに、メジャー7年目にしてようやくたどり着きました。

大谷選手
「チームは変わりましたけど、アメリカに来てからずっと夢に見てきた舞台であるので、今日勝って決まったというのは自分にとってすごく大きい」

「(Q.去年の手術からちょうど1年後に大記録を作った)リハビリと試合を分けるようにしている。リハビリの過程は楽しいことばかりではないし、進むこともあれば、後退することもあり、そこを試合に引きずらないように気持ちを切り替えて、バッターとしてやる時はそこに集中するよう心がけています」

■本拠地凱旋!ドジャー・スタジアムは総立ち 更なる記録へ 

21日、本拠地ドジャー・スタジアムに戻り、ロッキーズ戦が行われました。1回裏、大谷選手が第1打席に入ると、50-50到達の偉業を称え、大歓声が上がります。スタンドのファンやチームメートがスタンディングオベーションで迎えます。

前日からの4打席連続アーチとはなりませんでしたが、3回裏の第2打席で、センター前に弾き返すヒットを放ちます。

大谷選手は1点を追いかける5回裏の第3打席、2試合連続となる逆転の第52号2ランホームランを放ちました。

古田さん
「(Q.かなり高い球でしたよね?)非常に難しく、体に近い球でしたが、自分の体を反らして距離を取って打っています。パワーだけではなく、反らして打っています。今さら言うまでもありませんが、技術も高いです。すごい」

7回裏の第4打席、打球はファーストへのゴロの当りとなりますが、快足を飛ばし内野安打。大谷選手はすかさず二塁へ走り、52個目の盗塁に成功。52-52に到達しました。

チームも3連勝で、マジック5としました。残り8試合、どこまで数字を伸ばすのでしょうか。

大谷選手
「意識したら伸びていかないものだと思うので、無心でしっかり自分の役割が出来るように頑張りたい」

(9月22日放送「サンデーLIVE!!」より)

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