(21日、プロ野球 広島東洋カープ5―4読売ジャイアンツ)
9番打者、代打中山礼都で始まる九回の巨人の攻撃は、あの日とまったく同じだった。
広島の守護神・栗林良吏は雪辱への思いを込めた。「今日こそは絶対に抑える」と。
悪夢のような前回登板だった。11日の巨人戦。2点リードの九回、代打中山に与えたストレートの四球をきっかけに6点を失い、敗れた。右腕の登板はそれ以来だった。
同じ打順というのも脳裏をかすめた。いきなり3ボールになった。が、ここで我に返った。「前回は力でいって四球、四球だった。練習してきたことを思い出して、力でいかないように」。余計な力を抜き、直球を2球続けてフルカウントに。最後も直球。自らの正面にはじき返されたライナーに、必死にグラブを差し出した。
「捕ったというか、入ったというか。ラッキーだった」。一瞬、はじいたボールを探すかのようなしぐさも見せたが、この投直で1死目を取ると、後続を二ゴロと空振り三振に切った。
これでようやく、チームは9月の4勝目。首位だった1日の時点で14あった勝ち越し数は、この日敗れていれば1になるところだった。
自己最多の38セーブでファンに久々の勝利を届けた栗林は「きょうの歓声は自分がプロになって一番の声援だったと思う。身震いのする声援で、感謝しかないし、その期待に応えていきたい」。優勝争いからは大きく後退したが、悪夢を振り払った右腕は、まだ諦めない。(上山浩也)
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