打線が低迷した前半

阪神は今シーズン、目立った戦力補強をしませんでしたが、岡田監督はシーズン前にこう話していました。

「役割分担でやれば勝てることがわかった、勝ち方はわかったわけだから。みんなが個々の部分でもっとレベルアップすると思うね普通にやれば」。

昨シーズン、優勝の原動力となったのは選手1人1人が役割を果たし、当たり前のことを当たり前にやる「普通の野球」。

そこに「個々のレベルアップ」が加わることで連覇も成し遂げられる。

そんな自信が感じられました。

選手たちもそれに応えるべく、さらなる成長を見据えて努力を続けてきましたが、すぐには結果には結び付きませんでした。

2年目の森下翔太選手はオフシーズンからバッティングフォームの改造に取り組みましたが開幕以降、6月まで打率は2割台前半。

4番の大山悠輔選手や5番の佐藤輝明選手も調子が上がらず、中軸を担う3人全員が2軍で再調整を経験する“異常事態”となりました。

才木浩人投手や大竹耕太郎投手、それにリリーフも含めた投手陣がふんばり続けましたが、打線の低迷が響き、前半戦は4位。

岡田監督は「誰1人満足のいく前半戦じゃなかった」と巻き返しを誓っていました。

猛烈な追い上げも勝ちきれず

それでも後半戦、選手たちは徐々に努力の成果を見せ始めます。

森下選手の7月以降の打率は3割を超え、9月には4試合連続のホームランもマーク。

試行錯誤してきた打撃フォームが終盤に来てようやく固まり、結果につながってきました。

大山選手や佐藤選手も終盤戦は成績を上げ、トップバッターの近本選手は8月に39本のヒットを打って月間MVPを受賞するなど、打線が本来の力を発揮し始めました。

しかし9月23日、首位の巨人とゲーム差を「1」まで縮め、迎えた直接対決では打線が沈黙して完封負け。

「ことしを象徴しているような負け方やったもんな」と岡田監督はため息をつき、逆転優勝はなりませんでした。

来シーズンこそ成長を

雪辱を果たすべく臨んだクライマックスシリーズでも、打線は期待に応えられません。

近本選手と中野拓夢選手の1・2番は2試合でそれぞれヒット1本ずつ、佐藤選手もヒット1本で5三振。

森下選手は2試合でホームラン1本を含むヒット5本と気を吐きましたが、打線のつながりはほとんど見られませんでした。

さらに頼りの投手陣も2試合で13失点とあっけなく2連敗し、ファーストステージ敗退となりました。

今シーズンかぎりで退任する岡田監督は、きょうの試合後、「ことしは尻すぼみのチームになってしもうた。選手たちに伸びしろがあるやろうと思っていたけど、なかったということ」と、最後まで独特の「岡田節」で振り返りました。

厳しいその言葉は、選手1人1人がさらなる成長を遂げなければ大事な試合で勝ちきることはできないというメッセージにも聞こえました。

来シーズン、日本一奪還のためには新たな指揮官のもと、それぞれの選手がどれだけ「レベルアップ」できるかが最大のカギとなります。

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