■自慢のトレーニングルーム プールにビリヤード、シアターも
アメリカ・テキサス州 この記事の写真日本からおよそ1万キロ。アメリカ・テキサス州。夏には40℃を超えることもある地域です。
女子プロゴルファー 笹生優花選手訪れたのは、閑静な住宅街の一角にあるレンガ調の一軒家。この家に住んでいるのが、女子プロゴルファーの笹生優花選手(23)。
7LLDDK、500坪以上の物件笹生選手が3年前に見つけたという物件。築15年、2階建てで、その敷地面積はなんと500坪以上!1階には家族でくつろぐリビングやダイニング、ベッドルームやオフィスルームもあり、しかも、それぞれアメリカサイズの広々空間。キッチンだけでも、なんと11畳ほどあります。そして2階にもリビングがあり、ベッドルームも3つ。極めつけは20畳以上ある「シアタールーム」まで。全体の間取りは、なんと7LLDDKです。
日本勢初海外メジャー2勝 注目のトッププロ日本人の父とフィリピン人の母を持つ笹生選手。6月には世界最高峰の全米女子オープンを制し、なんと大会2勝目。日本勢初の海外メジャー2勝を挙げ、世界でも注目されるトッププロです。
一体、どんな暮らしをしているのでしょうか?
4人で暮らすこの家には父・正和さんとトレーナー、そしてマネージャーの合わせて4人で暮らしています。
1階にいることは多くないという笹生選手ですが、たまにお父さんとリビングで雑談したり、食事の時は、みんなでダイニングに集まっています。そんな1階から、笹生選手のお気に入りの場所を紹介してもらいました。
特別なマシンが6台 笹生選手「ここで初動負荷トレーニングしています。家に居る時しかできないので、家でできる時はずっと使ってる感じです」
自宅の駐車場の一角に作った自慢のトレーニングルーム。肩や腕、股関節など部位ごとに鍛えられるマシンが合わせて6台。一般には市販されていない特別なものです。
洗濯も自分で 笹生選手「(Q.洗濯は自分でやるんですか?)はい。自分でやります。日本は外干しが多いですけど、ダラスとかはホコリがすごいので、いつもドライヤー(乾燥機)使ってますね」
シーズン中は大会で各地を飛び回るため家に帰るのは多くて週に1回程度です。
プールも続いて紹介してくれたのが長さ10メートル以上もあるプールです。さらに庭には…。
笹生選手「ここで本当は何か(たき火とか)できるんですけど全く使ってないです」
1階の紹介を終え、続いて2階へ。
ビリヤード台に… 笹生選手「ビリヤード台があって、この上に卓球のテーブルを置けるんですよね。それで卓球したりとかしてます。自分の家を建てたらビリヤード台が欲しいなって思って買いました」 シアタールームが 笹生選手
「たまにしか使わないんですけど、シアタールームでアメリカの家にはよくあります」
「自分の部屋はこっちです。ここに全部荷物がたっまちゃってるんですよね。なんで部屋はNG です」 素顔はアニメ好き
自室はまたの機会に。ただ、その中で見せてくれたのが大好きなアニメ「ワンピース」のグッズです。
素顔はアニメ好きの23歳。そんな笹生選手の一日に独占密着しました。
■メジャーリーガーのトレーニングも取り入れる
一日は散歩から笹生選手の一日は散歩から始まります。電話の相手は日本に住む妹の裕美さん。笹生選手は5人兄弟の長女です。
遠く離れた日本で暮らす家族とのひと時。
笹生選手「(Q.結構連絡取るんですか?)取ります。お母さんと妹は毎日のように電話しています。時差があるので起きれたらの話なんですけど。朝起きて向こうが夜の8時とか9時だったら電話します」 公園でトレーニング
彼女が訪れたのは近所の公園。今年から帯同する専属トレーナーとともに朝から体の可動域を入念に確認します。使用するのは、公園の雲梯(うんてい)。さらに公園のベンチを使って腕立て伏せ。そこから自宅に戻ると今度はトレーニングルームで過ごします。
ここで今、最も力を入れているのが体の可動域を広げるトレーニング。
笹生選手「体を大きくしたらいいってものでもないですし、今ある体をどうやって上手に使えるかって思うので、効率良くもっとスイングを作っていきたい」 体の可動域を広げるトレーニング
イチロー選手も取り入れていたもので、体の正しい使い方を身につけ、ゴルフのパフォーマンスを上げるそうです。
トレーニングを終え、朝9時半。ようやく朝食の時間です。黙々と急いで食べ終えると、自宅からおよそ1時間かけてゴルフ場へ。
運転が好き 笹生選手「(Q.基本的に運転は自分で?)アメリカは多いですね。自分、車が好きで運転が好きなので。でも別にバーッて飛ばすとかじゃないです。スムーズに行きたいです。ゴルフと全く違う(笑)」 またトレーニング
午前11時ゴルフ場に到着すると、向かったのは練習場ではなく、なんとまたトレーニングルーム。今度はマシンを使わずに体を動かします。一体なぜ、ここまで体の動きに力を入れているのでしょうか?
笹生選手「体の動かし方というかいろんな動きをしても体をコントロールするのが大事。ゴルフもいろんな動きするじゃないですか。いろんなライに行って。なのでどんな位置に立っても変な動きをしないで、しっかり力を伝えられるような体にはしていきたかった」 常に新しいメニューを取り入れる
ゴルフに大切なのは、何よりも自身の体の動かし方。球を打つこと以上に、トレーニングに力を入れることが上達への近道だと言います。メニューはなんと30種類以上。日頃から、常に新しいメニューも取り入れています。
山本由伸投手の動画を参考この日、参考にしていたのは、なんとメジャーリーガーの山本由伸投手。彼もまた、可動域を広げ体の正しい使い方を追求する選手の1人です。動画を参考に実際にやってみると…。
実際にやってみると 笹生選手「ちょっとタンマ。これ、やばいレベル違う、レベチだよ」
■スイングにも変化 コーチ「非常に良くなった」
トレーナーとともに体の使い方を追求して1年。ゴルフにも徐々に成果が表れ始めています。
徐々に成果が 笹生選手「体の動きが良くなってくると、自分では軽く振ってるつもりでも距離は同じくらい出るようになる。一番大事なのが体の使い方っていうか、もっと体を効率良く使ったスイングです」
笹生選手と言えば平均270ヤードを超える世界トップクラスの飛距離が持ち味ですが、最近は力を入れずとも飛距離が出ると言います。
さらに、もう一つ彼女が力を入れている練習があります。1年前から月に数回、コーチとスイングの調整に取り組んでいるんです。
笹生選手「右腕が近い方が自分はスイングがしやすい。真っすぐバックスイングしちゃうとこんなふうに地面に打ち付けちゃう」 キャメロン・マコーミックコーチ
笹生選手が師事しているのは、キャメロン・マコーミックコーチ。メジャー3勝のジョーダン・スピースらを育て上げた名コーチです。
正確なショットも追い求める マコーミックコーチ「もしこれが君のスイングだとしたらこの輪は地面と垂直になっているよね。この目印の後ろでも真ん中でも前でも打っていい。この打球の先はどこになる?」 笹生選手
「まっすぐ」 マコーミックコーチ
「よりきちんとしたスイングの軌道だ。スイングする位置をボールの近くにして縦にスイングをする感覚にする。そうすれば意図してドローとフェードを打ち分けられるよ」
追い求めるのは飛距離だけではなく、正確なショットです。
マコーミックコーチ「(Q.笹生選手のインパクトは?)最初のころより非常に良くなっています。良くなっている要因としてはボールとの距離を縮めてスイングプレーンを少し縦にしたこと、これまで練習で何度も取り組んできた体の使い方です」 “縦振り”でショットの安定性が高まる
コーチと出会う前のおととしと今年のスイング、比較してみると今年のスイングは縦振りになっていることが分かります。縦振りにすることでショットの安定性が高まるのだそうです。
■一日8時間の練習 気分転換は“卓球大会”
大好物のカレー練習が終わったのは午後4時。家に帰ると、早めの夕食。この日は大好物のカレーです。ぺろりと2杯を平らげました。
午後6時。一日酷使した体のケアも欠かしません。ケアの時間は実に90分。アメリカでの連戦疲れに加え、彼女が今、実感しているのは…。
「日本の方が楽」だが 笹生選手「日本の方が楽じゃないですか。ゴルフが楽とか試合が楽とかじゃなくて移動とかが楽。ご飯おいしいし、安全ですし、やっぱり日本いいですもん。優花はそれは引退してから味わえばいいかな」 気分転換のひと時
夜7時半。ケアを終え、いきなり始まったのが、同居するトレーナー、マネージャーとの卓球大会。彼女にとって気分転換のひと時です。
ただ、ひとたびスイングの話になると卓球でも真剣そのもの。
笹生選手「ドライバーに近い感じ」
午後9時まで続き、この日は終わりました。独占密着で見えた彼女の一日。オフにもかかわらずトレーニングを含め、およそ8時間の練習。ゴルフに人生を懸ける、プロフェッショナルな姿がありました。
■プロになる…父娘でフィリピン移住
そんな彼女は今年の全米女子オープンの優勝インタビューで「家族の支えなしには、ここにいられなかった」と語りました。
フィリピンで生まれ、4歳で日本へ笹生選手が生まれたのはフィリピン北部の都市・サン・イルデフォンソ。日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれました。幼少期をここで過ごし、4歳の時、家族全員で日本に移住します。
笹生選手「日本に来て日本語が全然しゃべれなくて友達もいなかったので、会話できないのって辛いこと。そんな中ゴルフがあった」 初めての日本で戸惑い…
初めての日本で戸惑う彼女にとって、唯一の心の拠り所が父の影響で始めたゴルフでした。その頃の様子を、父・正和さんはこのように話します。
父・正和さん 正和さん「普通子どもはボール打つのが嬉しくなるんですけど、ずっとやってると飽きて、ご飯食べようとか帰ろうとかって言うんですけど、(夏休みに)42〜3日毎日練習場に行ったら、自分からご飯食べようとか帰ろうとか言わなかった。それで親としては本当にゴルフが好きなんだろうなと」
すっかりその魅力にはまると、8歳で本格的にゴルフに取り組み始めます。するとすぐに、一つの目標を描くようになりました。
8歳で本格的にゴルフに取り組む 笹生選手「石川遼さんだったり宮里藍さんが日本で何回も優勝していて、それをテレビで見て『プロになりたい』って言ってました」 正和さん
「『プロになって世界一になりたい』とか言っているから、プロ目指すといろいろなことを諦めなくてはいけないよって最初は反対したど、ずっと『プロになりたい』って泣いて騒いでいたんで」 大きな決断を下す
そんな娘の決意を聞いた正和さんは、その翌年、大きな決断を下します。ゴルフの練習費用が抑えられ、気候も温暖なフィリピンに2人だけで移り住んだのでした。
■「親が助ける義務がある」 食事も父が担当
ボクシング、野球も取り組んだこうして父と娘、二人三脚で始まった壮絶なトレーニング。ボクシングに野球。実はボールを追う笹生選手の足には片足2キロずつの重りが。
片足2キロずつの重りを着けるこうした練習は全て正和さんが考え、重りを着けたまま毎日行っていました。
正和さん「父親は娘に『嫌だ』とか恨まれるのは嫌。教えるこっちも辛い。子どもが泣き泣きやる時もあるし、つらい時もある。でも夢が世界一って言うんだから親が助ける義務があるからやっていた」
そんな父の教えが実り、笹生選手は2019年、日本のプロテストに一発合格。2021年には史上最年少19歳351日で全米女子オープンを制し、アメリカツアーに本格参戦をしたのです。
史上最年少19歳351日で全米女子OPを制すそこでも、父と娘は再び日本を離れ、アメリカへの移住を決断。寂しい思いをさせまいと、笹生選手のそばにはいつも正和さんがいました。
幼い頃から、食事を作るのは今でも正和さんの担当です。栄養士からのアドバイスを参考にメニューを1つ1つ考えます。
食事を今でも担当 正和さん「3食は大変だよ。でも子どもが頑張りたいっていうからさ、やるしかないじゃん。ゴルフのことに関してはもう教えらんないからさ。ジュニアの時はおにぎりを作って昔は練習に行っていた」 充実した朝食
この日の朝食はトマトとレタスと卵の炒め物、キムチに納豆、ハム、みそ汁など合計9品。朝食にもかかわらずこれだけの充実ぶりです。
■父は帰国へ 「今度はお父さんが楽しい人生に」
献身的なサポートを続けてきた正和さんも今年で66歳。年齢を考慮しある決断を下そうとしていました。
正和さん「俺がいて邪魔になっちゃう場合もあるんですよ。歳だし、ちゃんとできない面もあるし。自分もちょっと病気を持ってるし、そういうことを含めて良いかな。もう15年やってるんで来年の6月USオープン(全米女子OP)が終わったらそういうことにしようかなあ」 娘のサポートを始めてから15年
娘のサポートを始めてから実に15年。体調を崩すことが増え、来年6月に娘と過ごすアメリカ生活の終止符を打とうとしていたのです。
笹生選手「自分のことだけを考えてもらっている15年間。でも日本に帰ったほうがいい食べ物ありますし、体のケアもすごくできると思う。やっぱりアメリカの生活はすごく大変だと思う」 日頃の感謝の思いを込めて…
そんな父の負担を少しでも減らそうと、この日は久しぶりに外食へ。正和さんの大好物である焼肉。日頃の感謝の思いも込め、楽しいひと時を過ごしました。
「今度はお父さんが楽しい人生に」 笹生選手「プロゴルファーになるっていうサポートを100%、150%押してくれて支えてきてくれた。今はゴルフ、ゴルフ、ゴルフってなっちゃっているので、お父さんの人生じゃないっていうか。優花の人生を話すしかなくなっている。もっと『釣り行った』とか『このぐらいの魚釣った』とかお父さんの話が聞きたい。今度はお父さんが楽しい人生にしてほしい」
父と二人三脚で歩んできた道から、さらなる先へ!
【年に1度のゴルフ団体戦】2024年12月8日(日)日立3ツアーズ選手権
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