16年ぶりのJ1の舞台で6位と躍進を遂げた東京ヴェルディの城福浩監督(63)が9日、都内で会見を行い、シーズンを振り返った。

今シーズン、前評判は決して高くなかったヴェルディだが、終わってみれば14勝14分11敗の6位。大健闘ともいえる成績に、城福監督は前日の最終節(vs京都)終了後、選手を集め「胸を張れ、お前ら6位だぞと、多分初めてみんなを褒めた」という。

それでも、一夜明けると「終わってみたら、あの試合を引き分けてしまったなっていうような試合がいくつかあって、その悔しさの方が大きいというか、もっと最終節までACL(アジアチャンピオンズリーグ)の可能性があるようなところまで、彼らにヒリヒリした戦いをやらせられたんじゃないかなっていう悔しさも自分の中では正直あります」と悔しさをにじませた。

今シーズンの躍進を象徴する選手を問われると「個人名を挙げるのは・・・」とためらいながらも「せっかくここにお集まりいただいたので、言わないと失礼だと思う」と報道陣に気遣いを見せた城福監督。「一番に名前を挙げるとすると、松橋優安ですね」と、プロ5年目、23歳MFの名前を挙げた。

今季開幕時には「フィールドプレーヤーが30人いたとしたら、言い方を恐れずに言うと30番目だったことは、本人含めて誰もが認識していたような状況」だったという松橋。それでも、練習のすべてに手を抜かずに取り組み、練習試合ではサブ組が出場する3本目、4本目でサイドバック、ボランチ、ウイングとその時に足りないポジションに入って必死にプレーしてきた。その結果、彼の武器が変化したと目を細める。

「彼は『僕はうまいんですよ』『うまくてちょっと速いんですよ』というのが武器だったのが、『僕はハードワークするんですよ』『めちゃめちゃハードワークするんだけど、実はちょっとうまいんですよ』とスタンスが変わったんですよ。彼のストロング(ポイント)を変えられたんですね。これはいろんな選手にとってものすごく示唆に富むというか。『だいたい大人になったら、選手って成長しないでしょう』とか『12歳の時にスキルが一番身につくんであって、そこでもう選手の価値って分かるんでしょ』っていうところではないところを、彼が証明した」。常識を覆す松橋の成長が、チーム全体に好影響をもたらしたとも明かした。

「自分の一番のストロングだったものを2番目にすればいいんですよ。違うものを一番にすればいい。というところの象徴的なものが、彼(松橋)だったんじゃないかなと僕は思います」という指揮官の言葉が、今季のヴェルディの躍進を物語っていた。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。