静岡鉄道は主力の自動車販売などで収益を伸ばし交通でも増収に

静岡鉄道が28日発表した2024年3月期の連結決算は、純利益が前の期比3.8倍の31億円と過去最高になった。主力事業の自動車販売でメーカーからの供給が正常化したほか、新型コロナウイルス禍の収束に伴いホテルなどレジャー関係も伸びた。25年3月期はエネルギーや人件費の高騰がかさみ、売上高は横ばいながら減益を見込む。

24年3月期の売上高に当たる営業収益は前の期比10%増の1701億円で、過去3番目に高い水準となった。営業利益は92%増の36億円、経常利益は2倍の33億円だった。前の期は所有する固定資産の評価見直しに伴う減損など特別損失を計上。その反動増もあって、純利益の増益幅が営業利益や経常利益と比べて高くなった。

事業別にみるとトヨタ自動車系の販売店「トヨタユナイテッド静岡」やレンタカー店の運営など自動車販売が売上高全体の約5割を占め、16%伸びた。コロナ禍や半導体不足のもとでは車両供給が制限され、顧客からの受注残が積み上がっていた。前期に引き渡しが進んだことで自動車販売の業績が改善、営業利益は42%増と大幅に増えた。

鉄道やバスなどの交通事業は9%の増収。人流回復で輸送人員が5%前後伸びた。鉄道で23年4月に運賃を引き上げたほか、日本平(静岡市)で運行するロープウエーが大河ドラマの影響で5割ほど利用者が増えた。ただ営業損益は燃料価格の高騰などもあって7億1100万円の赤字(前の期は13億円の赤字)となった。

25年3月期は売上高が微増の1709億円、純利益が52%減の15億円となる見通し。人手不足が続くなか賃上げなど待遇改善を進めるため、人件費が上昇する。エネルギー関連も前期から35%程度増えると見込む。販管費の増加分は、大阪に初進出したホテルを通年営業し乗り合いバスを値上げすることなどで一部吸収する。

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