「こんぴらさん」として親しまれる金刀比羅宮がある香川県琴平町に中長期滞在が可能な宿泊施設が開業した。滞在中に地元住民と交流できる機会を設けて宿泊者に地域の魅力を伝え、町への移住や定住のきっかけをつくる。
「ホステル コトヒラクラスカ」は同町観光協会会長で、旅館を経営する漆原康博氏が廃業した旅館を買い取って改修した。開業にかかった費用の半分は国や自治体の補助金でまかなった。
6月下旬から予約の受付をはじめ宿泊者を受け入れる。料金は一泊5500円(洋室で素泊まりの場合)からと、周辺の宿泊施設より安く設定した。長期宿泊者向けの割引も設け、1カ月滞在すれば2割引きとなる。漆原氏は「一週間単位などで移住体験ができるような施設にしたい」と語る。
共有部には会議ができるイベントスペースやキッチンを設けた。宿泊者が近隣で購入した地元の食材を調理して食べることもできる。地域住民との懇親会を開くほか、移住希望者の相談も受けるという。
琴平町は少子高齢化が深刻で、有識者でつくる民間の「人口戦略会議」から「消滅可能性自治体」に分類された。「なんとかしないといけない」。漆原氏は強い危機感から、地域活性化につながる施設の開業に踏み切った。
同町では同様の施設の開業が相次ぐ。パソナグループの地方創生(東京・港)は空き家をゲストハウスに改修する事業を進める。琴平バス(香川県琴平町)はコワーキングスペース兼宿泊施設の運営をはじめた。地域一体で観光客や移住者の誘致に取り組む。
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