米電気自動車大手テスラのフリーモント工場=米西部フリーモントで、大久保渉撮影

 米電気自動車(EV)大手テスラが全世界で10%以上の人員削減を実施することが15日、明らかになった。テスラが従業員宛てに送ったメールを基に、複数の米メディアが報じた。同社の幹部2人も退社を表明した。販売不振を受け、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が合理化を図ったとみられるが、テスラの株価は下落しており、市場の理解は得られていない。

 米紙ワシントン・ポストによると、テスラは15日に送った従業員宛てのメールで「次の成長へ向け、コスト削減と生産性向上の観点で会社の全ての面を精査する必要がある。我々は組織を徹底的に見直し、全世界で10%以上の人員削減という難しい決断を下した」と述べた。2023年末時点の同社の従業員数は米中独など世界で約14万人で、1万4000人以上が解雇される計算になる。

 15日にはテスラに18年在籍したドリュー・バグリーノ上級副社長など幹部2人が会社を去ると、X(ツイッター)で表明した。

 15日のニューヨーク株式市場でテスラの株価は前日比9・57ドル(5・59%)安の161・48ドルで取引を終えた。人員削減は利益増に直結するため、通常は株価の上昇要因となるが、「マスク氏に販売不振の打開策がない証拠」(米証券アナリスト)との受け止めが広がり、売り注文が優勢となった。15日の終値は年初に比べ約35%安となっている。

 テスラの1~3月期の世界販売台数は前年同期比8・5%減だった。前年同期を下回るのは新型コロナウイルス禍で経済活動が混乱した20年4~6月期以来、約4年ぶり。米国でEV販売が鈍化していることに加え、中国メーカーの低価格戦略にも手を焼いており、業績の先行き不安が広がっている。【ワシントン大久保渉】

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