4年ぶりの新ブランド「ニッカ フロンティア」を10月1日から発売する(5日、北海道余市町)

アサヒビール傘下のニッカウヰスキーは5日、ウイスキーの新ブランド「ニッカ フロンティア」を10月1日から発売すると発表した。年間を通じて販売する新ブランドとしては、2020年に発売した「ニッカ セッション」以来4年ぶりとなる。創業90年の節目に投入し、国内外で人気が高まるウイスキーの需要を取り込む。

フロンティアは創業の地である余市蒸溜所(北海道余市町)などのモルト原酒を51%以上使用し、スモーキーな味わいが特徴だ。海外のウイスキー原酒も一部混ぜたブレンデッドウイスキーとなる。通常冷やしてろ過する工程を常温にすることで香りがより残るようにしたという。

開発期間は2年半で、4年前に発売したセッションの2倍以上の月日を費やした。1瓶500ミリリットルの希望小売価格は2200円。主力の「ブラックニッカクリア」は700ミリリットル1089円で、フロンティアは高価格帯に位置付ける。

パッケージは液色を全面に見せるシンプルなデザインとし、正面には企業ロゴ「NIKKA WHISKY」と同じ書体の「N」を大きく配置した。24年の販売数量は5万ケース(1ケース8.4リットル換算)を目指し、25年に15万ケース、30年までに30万ケースをめざす。

ニッカウヰスキーは7月2日に創業90周年を迎えた。為定一智社長は「創造90周年を機に原点を再度見直した。創業者のフロンティアスピリットを継承していくという決意を込めて開発した」と話す。

ウイスキーは熟成には最低3年以上の時間がかかる。ウイスキーの元になる原酒が足りず、国内外で高まるウイスキー人気に供給が追いつかない状況が続く。

ニッカは供給能力を増やすため、6月には60億円を投じて貯蔵施設を増強すると発表した。栃木工場(栃木県さくら市)に9月から稼働する貯蔵庫を新設するほか、主力の蒸留所で貯蔵に必要なたるを購入する。貯蔵能力は21年比で1割増えるという。

店頭価格2000円以上の「プレミアムウイスキー」の市場で、ニッカの販売数量は現在、世界50位程度とみられる。海外市場を積極的に開拓することで、将来的には世界トップ10入りを目指す。

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