円安が利益を押し上げる

ヤマハは31日、2025年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比20%増の355億円になる見通しだと発表した。従来予想から15億円上方修正した。中国でのピアノ販売は苦戦が続くが、通期の想定為替レートを円安に修正したことで全体の利益を押し上げる。

中国でのピアノ販売は想定よりも市況回復が遅れる。市中在庫が高い水準にあり、減産を続ける。26年3月期をメドに在庫水準の適正化を目指す。中国ピアノ工場で正社員の早期希望退職を400人規模で実施することも明らかにした。

24年4〜6月期の連結決算は、売上高が6%増の1121億円、純利益は45%増の94億円だった。夏季に増えるスポーツや音楽イベントに向けた設備投資の需要を取り込み、スピーカーなどの業務用音響機器が伸長した。車載オーディオも好調だった。

同日、株主優待制度を廃止することも発表した。これまでは傘下のヤマハリゾート(静岡県袋井市)のギフト商品などを提供してきたが、外国人投資家には利点が少ないことから、利益還元の公平性を考慮した。今後の利益還元は配当に集約する。

あわせて、9月30日を基準日として1株を3株にする株式分割も発表した。投資単位あたりの金額を引き下げ、投資家層の拡大につなげる。株式分割に伴い、2025年3月期の期末配当は1株13円になる。分割前のベースに換算すると1株39円で、従来予想は37円だった。

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