日本製鉄は九州製鉄所八幡地区(北九州市)に大型電炉に建設する方針

日本製鉄は11日、完全子会社の日鉄ステンレスと共同で電炉導入に向けた国の補助金に応募したと発表した。日鉄が北九州市と兵庫県姫路市に持つ2つの製鉄所での大型電炉の導入と日鉄ステンレスの山口県の拠点の休止中の電炉が対象となる。鉄鋼業は産業別で二酸化炭素(CO2)の排出量が最も多い。従来の高炉での製鉄からCO2排出の少ない電炉への切り替えを図る。

3カ所合わせた設備投資額は少なくとも1千億円以上の規模になるとみられる。国の補助金は設備投資額の最大3分の1を支援する。鉄鋼業界ではCO2排出量の少ない工程で作った鋼材の環境価値を最終製品の価格に反映しにくく、設備投資が難しいとされる。

日鉄はかねて九州製鉄所八幡地区(北九州市)と瀬戸内製鉄所広畑地区(姫路市)での大型電炉の導入検討を表明していた。八幡地区では稼働中の高炉停止につながる可能性がある。合わせて日鉄ステンレスが休止している山口製造所(山口県周南市)の電炉も改造する方針。

日鉄は同日、25年4月1日付で、日鉄ステンレスを吸収合併すると発表した。国内需要が縮小するなか、人員の配置を最適化していく。日鉄ステンレスの24年3月期の売上高は4325億円、純利益は246億円だった。

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