最低賃金を時給1500円に引き上げる政策を巡り、経済同友会の新浪剛史代表幹事は18日の定例会見で「(その水準まで賃金を)払えない企業は駄目だ。払えるようにすることを目標としてやっていくべきで、払わない経営者は失格だ」と述べた。経済界でも大幅な引き上げに慎重な声もあり、議論を呼びそうだ。
新浪氏は会見で「最低賃金を払えない企業が倒産すると(働いている人は)ほかの生産性の高いところへ行き、人にとっては良いことだ」と強調。最低賃金の引き上げで企業の新陳代謝が生じ、賃金を上げていくことが人材を大切にすることだと説いた。
一方で、政府が目標とする2020年代の1500円達成には、この数年間、毎年7%以上引き上げることが求められる。中小企業が多く加盟する日本商工会議所の小林健会頭は17日の定例記者会見で、最低賃金でしか雇えない中小企業が地方に多く、そうした企業が地元の産業インフラを支えている現状に言及。その上で、「最低賃金は春闘の通常の賃上げと性質が異なる。大幅に引き上がると、マーケットから退出してしまうことが大いにあり得る」と指摘した。
こうした考えに対し、新浪氏は「(企業同士が)合従連衡をすればいい。できる経営者が出てくる」と反論。大企業側は取引先の中小企業と適正な価格転嫁を進めて賃上げを後押しすることが重要だとし、「(人手不足の)今がチャンス。最低賃金を世界レベルに上げていかないと駄目だ」と述べた。【道永竜命】
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