日本たばこ産業(JT)は31日、2024年12月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比3%減の4670億円となる見通しだと発表した。従来予想を80億円下回る。海外でたばこの値上げが進むものの、円相場の上昇で外貨建て借入金の為替差損を計上する。税金費用も増える。年間配当(194円)は従来計画を据え置いた。
売上高にあたる売上収益は11%増の3兆1635億円と、計画から545億円増えるとした。営業利益も2%増の6880億円と想定から280億円上振れし、減益予想から一転、増益になる。ルーマニアや台湾など海外で紙巻きたばこの値上げが浸透する。ロシアやトルコなどで販売が想定を上回り、たばこの総販売量は従来予想の0.5〜1%の減少から、約1%の増加に見直した。
10月に買収を完了した紙巻きたばこ専業の米ベクター・グループも利益を押し上げる。ゴールドマン・サックス証券の宮崎高志アナリストは「低価格帯に強みのあるベクターの買収を皮切りに、どの程度米国での拡大を目指していくのかがポイントになる」と話す。
同日の決算説明会で古川博政最高財務責任者(CFO)は健康リスクを巡るカナダの訴訟に関連して「一時的な損失が生じた場合には、配当金額を算定する際に損失分を調整することを検討している」と話した。
併せて発表した24年1〜9月期の連結決算は、売上収益が前年同期比11%増の2兆3932億円、純利益が0.1%増の4424億円だった。
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