ディスカウント店「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが11日発表した2024年7〜9月期の連結決算は、営業利益が前年同期比25%増の410億円だった。同期間で過去最高を更新した。訪日客の増加で免税品の販売が伸びた。利益率の高いプライベートブランド(PB)商品も好調だった。
売上高は8%増の5505億円だった。国内の既存店売上高は5.6%増だった。純利益は為替差損を計上し、204億円と17%減った。
「ドン・キホーテ」を展開するディスカウントストア事業は、売上高が9%増の3545億円、営業利益は43%増の271億円だった。業績をけん引したのはインバウンド(訪日客)消費だ。免税売上高は66%増の351億円と、同期間で最高だった。韓国や台湾、中国といったアジア圏のほか米国からの訪日客が増え、キャリーケースや雑貨の販売が伸びた。売れ筋の商品をあらかじめレジの裏にそろえ、免税レジの対応時間を約1分短縮するといった運営方法の改善も奏功した。
物価高を背景に、メーカー商品よりも割安なPB商品にも力を入れた。スマホ関連商材や台所用品でOEM(相手先ブランドによる生産)を増やし、利益を押し上げた。
総合スーパー(GMS)を手がけるユニー事業の営業利益は13%減の63億円だった。売上高は1143億円と2%増えたものの、水道光熱費やスマホアプリの会員獲得に向けた販促費用の増加を補えなかった。利益率の高い衣料品の販売も振るわなかった。
海外事業は苦戦した。アジア事業の営業利益は2000万円と、9000万円だった前年同期から大きく減った。香港は現地外食店との競争が激しいほか、物価高で買い控えが起きた。北米事業は11%の増収だったものの、新規出店など成長投資に伴う減価償却費の負担が増え、営業利益は25%減った。
同日の決算説明会で吉田直樹社長は「海外事業は改善と微修正だけでは答えにならない。長期的な視点で取り組む」と述べた。従来は、「半年」や「1年後」といった期間で海外事業を説明してきたが、今後は3〜5年を事業成長にかかる期間の目安とする。好調なディスカウント事業を柱に経営目標を達成しつつ、従業員の育成に時間がかかる海外事業は中長期で人材などの基盤を作る方針だ。
25年6月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比6%増の2兆2200億円、営業利益は7%増の1500億円を見込む。
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