半導体材料大手JSRのエリック・ジョンソン社長は30日、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)による株式の公開買い付け(TOB)が成立したことに関して、今後の業界再編では「ベストな選択肢は日本で行っていくことだ」と述べた。国内メーカーを相手候補として再編を目指していく考えだ。

 この日あった2024年3月期決算会見の場で述べた。JICによるJSR株のTOBは4月16日まで実施され、84%の応募があった。JICは残りを含む全株式を9040億円で取得し、JSRは今夏にも上場廃止となる。

 ジョンソン社長は今後の業界再編について、「できる限り最善な可能性を追求しながら、効率性を向上し、そして相乗効果を追求していきたい」と述べた。その上で、「日本のエコシステムの中での相乗効果やメリットがとても大きいと思っている」と強調した。

 JSRは様々な半導体材料を手がけ、半導体の回路をつくるのに必要な感光剤(フォトレジスト)では世界トップ級の3割近いシェアを握る。24年3月期決算(国際会計基準)は、半導体需要の低迷や海外工場の大規模修繕などから、売上高は前年同期比1.0%減の4046億円、純損益は55億円の赤字(前年同期は157億円の黒字)だった。(湯地正裕)

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