パーソル総合研究所は27日、組織から離れる同僚を円滑に送り出す「オフボーディング」に関する実態調査の結果を発表した。退職や産休で欠員が発生した際に8割近い組織で人員の補充がなかった。人員を補充しなかった場合、後任者と上司の残業時間が増え、バーンアウト(燃え尽き症候群)や退職のリスクが高まることもわかった。

2月16〜20日にインターネットで調査した。従業員10人以上の組織(農業や鉱業は除く)に勤務する20〜59歳の正社員3万7244人を対象に事前調査を実施。半年以内に退職や中長期の休業を取得した前任者、その同僚の業務を引き継いだ後任者、同じく退職や休業を取得する部下がいた上司をそれぞれ1350人ずつ抽出した。

欠員が発生したときの人員補充について「なかった」か「しなかった」と回答した上司は47.4%にのぼった。「募集しているが、できていない」も29.6%いた。一方で欠員の発生前後に採用や異動で欠員を「充足した」と答えたのは計22.9%にとどまった。

同僚の退職や休業で業務を引き継いだ後任者の場合、バーンアウトや退職意向を抱く人が欠員が生じなかった場合に比べてそれぞれ0.2ポイントずつ多かった。月間の残業時間も4.4時間多くなった。上司も同2時間増えた。

欠員発生後のリスクやトラブルについても尋ねた。40.0%の後任者が「他にも退職する人がいそうだ」と感じていた。「必要な情報や資料が見当たらなかった」(33.7%)、「チームから離れた前任者が以前引き受けた業務が引き継がれていなかった」(32.8%)を挙げた人も多かった。

退職や中長期の休みを取得した人で「引き継ぎを実施した」と答えた人は77.6%。約4人に1人が業務の引き継ぎをしないままチームから離れていた。

引き継ぎ時間の確保にも不満が多い。後任者の計47.1%が引き継ぎ時間を十分に確保できたと「まったく思わない」「あまり思わない」と答えた。不足感を職種別にみると、「商品開発・研究職」(57.5%)が最も高く、「事務職」(52.0%)が続いた。

パーソル総合研究所の今井昭仁研究員は「オフボーディングは管理職や退職者、同僚といった関係者が後ろ向きになりやすい。退職の連鎖を招かないためにも、欠員発生時の対応を強化すべきだ」と述べた。

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