和菓子製造・販売のたねや(滋賀県近江八幡市)は、障害を持つアーティストの作品(パラアート)を活用した新作の風呂敷を売り出す。「エコバッグ」としても使ってもらい、持続可能な社会づくりに役立たせる。赤を基調とした同じデザインのパッケージを使う年末年始向けの菓子の詰め合わせ2種とあわせ、20日に発売する。
風呂敷は一辺90センチメートルの正方形で、オーガニックコットンを使っている。京都のメーカーに発注した。1枚2200円で、最大1000枚ほどを用意する。県内の福祉施設「やまなみ工房」のアーティスト、小川翔陽氏(25)の膨大な作品群の中から山本昌仁社長が選んだ乗り物や動物など240の絵をランダムに配した。
11月下旬に三日月大造知事を訪ねた後、県庁で記者会見した山本氏は「菓子屋に欠かせない風呂敷を現代の形で使ってほしい」と述べ、伝統アイテムを残す狙いだと説明。エコバッグなどとして普段使いしてもらえれば、絵柄のインパクトが大きいので周囲の興味もひくとの見方を表明した。使い方はたねやのウェブサイトで紹介する。
同時に発売する菓子の詰め合わせは「お干菓子迎春」(1728円)と、もなか「ふくみ天平(てんびん)」の特別版を含む「迎春Ciao!」(2268円)。いずれも2025年1月上旬までの販売を想定。その後も風呂敷と同じデザインの容器で様々な商品を提供し、中の菓子を食べた後も消費者が捨てないで再利用するよう期待する。
たねやは23年12月からやまなみ工房のアーティストの作品を商品に生かす取り組みを進めてきた。第1弾は中尾涼氏による青地に赤のアルファベットを配したデザインを採用。24年を通じ、この作品を生かした風呂敷など関連商品を展開した。小川氏の作品は25年向けの第2弾という位置づけだ。
やまなみ工房は滋賀県甲賀市にあり、国内外で高い評価を得ているアーティストが複数所属する。生み出された作品を一般にも広める今回のプロジェクトは山本氏の肝煎りだ。工房と連携する理由についてたねや広報は「障害者のアートだからということでなく、あくまで作品が素晴らしいからだ」と説明している。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。