鳥インフルが発生した鹿児島県の養鶏場で殺処分作業を進める職員。国環研発VBはウイルス判定時間短縮で感染拡大防止に役立てる

国立環境研究所(茨城県つくば市)は、同研究所発のベンチャー企業第1号を設立した。鳥インフルエンザなど動物の疾病に関する検査などを専門に手がける。培ったノウハウを活用し、ウイルスの検出時間を最速で10分の1に短縮。感染拡大防止に役立てる狙いだ。

「株式会社野生動物医科学ラボラトリー」は資本金100万円。10月31日付で設立した。2025年1月6日から事業を始める。社長には国環研の大沼学・生物多様性資源保全研究推進室長が就いた。本社を国環研内に置く。

遺伝子の配列情報から病原性を判定したり、高病原性ウイルスに特徴的な配列を蛍光色素で検出したりする独自の技術を活用。これまで約10日かかっていた病原性判定を1〜3日に短縮する。素早く判定し、鳥インフルエンザなどの疾病の感染拡大防止に役立てる。

このほか、重金属や化学物質による中毒など非感染性疾病の検査、絶滅危惧種を保護する技術開発なども手がけ、生物多様性の保全に役立てる考えだ。

致死性の高い高病原性鳥インフルエンザは、秋ごろ渡り鳥によって持ち込まれるとされる。養鶏場のニワトリが感染すると殺処分が必要で、鶏卵の価格上昇リスクが高まる。迅速で確実な感染拡大防止手段が求められている。

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