共同記者会見する(左から)日産自動車の内田誠社長、ホンダの三部敏宏社長、三菱自動車の加藤隆雄社長=東京都中央区で2024年12月23日午後5時26分、玉城達郎撮影

 ホンダと日産自動車は23日、経営統合に向けた本格的な協議に入ると発表した。日産が筆頭株主になっている三菱自動車も合流を検討する。持ち株会社を設立し、各社が傘下に入る形式を想定する。来年1月末をめどに統合の方向性を決め、同年6月までの最終合意を目指す。具体的な枠組みや出資比率などは今後詰めるが、新設の持ち株会社のトップはホンダ側で指名し、取締役会はホンダ側が過半数を握る予定。新会社は2026年8月にも設立される見通し。

 3社による経営統合が実現すれば、世界販売台数800万台を超え、世界第3位の巨大自動車グループが誕生する。国内勢力はトヨタ自動車を中心とするグループと3社連合の二つに集約されることになる。

 ホンダと日産は23日、取締役会の決議を経て、経営統合に向け協議入りするための基本合意を結んだ。

 基本合意書によると、ホンダ、日産のブランドはともに存続。全体で売上高30兆円、営業利益3兆円を超える世界トップレベルのモビリティーカンパニーを目指すことが明記された。車両プラットフォームの共通化や研究開発機能の統合、工場の相互利用を図り、経営の効率化を目指す。

 23日に東京都内で記者会見したホンダの三部敏宏社長は「モビリティー(自動車)の変革をリードする存在となるには大胆に踏み込んだ変革が必要だ」と強調した。日産の内田誠社長は「どちらが上か下かではなく、ともに未来をひらく仲間として、互いの立場や違いを尊重し、信頼関係を構築する」と述べた。また、三菱自の加藤隆雄社長は「当社も更なる関係強化が必要と認識している」と述べ、25年1月末までに枠組みへの参加を検討し判断する考えを示した。

 会見に先立ち、3氏は経済産業省や国土交通省を訪れ、各省幹部に協議入りを報告した。

 自動車業界は脱炭素化に伴う電気自動車(EV)への移行や自動運転技術の進展など「100年に1度」と言われる大変革期に入っている。特にEVの分野では、米テスラや中国・比亜迪(BYD)など新興メーカーが台頭。日本メーカーは生き残りをかけ、戦略の練り直しを図っている。

 ホンダと日産は今年3月、EV事業などでの包括的協業に向けた検討開始を発表し、8月には次世代車両に必要な車載ソフトウエアの共同研究や車両の相互補完関係を強めることで一致していた。

 一方で、日産は中国や北米で苦戦し、24年9月中間連結決算は営業利益が前年同期と比べ9割減となるなど、業績が急速に悪化。9000人の人員削減と生産能力の2割減を打ち出している。

 ホンダはハイブリッド車(HV)こそ好調だが、世界最大の自動車市場である中国で販売が急減。経営統合することで、生産コストの低減や開発費用を確保したい狙いもある。

 また、台湾電機大手の鴻海(ホンハイ)精密工業が日産への出資を画策し、複数の投資ファンドが日産株を保有していることなども協議入りを加速させたとみられている。【秋丸生帆、加藤結花、道永竜命】

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