ダイハツ工業は8日、大規模な認証試験での不正を受け、新たな経営方針を発表した。親会社のトヨタ自動車にOEM(相手先ブランドによる生産)などのかたちで供給していた小型車事業を見直す。トヨタが開発や認証取得に責任を持つ体制に切り替えることで、ダイハツの負担を軽減して、不正の再発防止を図る。
まず、5月1日に東南アジアなど新興国向けの小型車事業の体制を変更する。これまでトヨタとダイハツの2社にまたがる「新興国小型車カンパニー」が新車の開発や企画を担い、ダイハツが主に新車の認証業務までを担当していた。トヨタの組織である「トヨタコンパクトカーカンパニー」が開発や新車の認証に責任を持ち、ダイハツが委託を受けるかたちに改める。
ダイハツの井上雅宏社長は8日の記者会見で「ダイハツは軽を中心としたモビリティーカンパニーとなり、トヨタ自動車グループ内での役割を再定義する」と語った。新興国向けに加えて、ダイハツがトヨタにOEM供給していた国内向けの小型車でも、同様の取り組みを進める方針だ。
ダイハツの認証試験での不正は新興国向け小型車の開発負担が重くなったことが要因の一つになった。トヨタの佐藤恒治社長は2月にダイハツを「軽自動車を軸に置いた会社と定める」とし、新興国向け小型車では業務をトヨタからの委託に切り替えることなどで、ダイハツの負担を軽減する方針を明らかにしていた。
中断していた商用バッテリー電気自動車(BEV)の開発を再開することも明らかにした。時期は未定としながら、ダイハツの井上社長は「カーボンニュートラルにとって非常に重要で、将来は挑戦していきたい」と話した。
経営責任の明確化としてダイハツの旧経営陣の23年度の賞与を返納することも明らかにした。星加宏昌副社長と松林淳前会長、奥平総一郎前社長が全額返納し、他の元取締役も50%を返納する。
ダイハツは2023年12月に完成車の大規模な認証不正を公表し、国内の全ての完成車工場の生産・出荷を停止した。国土交通省が安全性基準の適合を確認した車種から順次生産と出荷を再開している。
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