川崎汽船は7日、1000億円を上限に自社株買いをすると発表した。発行済み株式総数(自社株を除く)の5.5%にあたる3955万6000株を上限に買い付ける。新型コロナウイルス下の需給逼迫の反動で2024年3月期の純利益は前の期比85%減となったものの、自己資本比率が高水準を保つなか資本効率を意識した経営を進める。
今回の自社株買いは立会外買付取引(ToSTNeT-3)で大株主4社から買い付け、取得上限に達しない場合は東京証券取引所での市場買い付けを続ける。
川崎汽船は大株主のエフィッシモ・キャピタル・マネージメント、みずほ銀行、東京海上日動火災保険、川崎重工業からはそれぞれ「おおむね各社の持ち分割合に相当する数量について自社株買いに応じる意向があることを確認した」という。取得期間は8日から7月末まで。取得する自社株は消却を予定している。
27年3月期を最終年度とする中期経営計画を更新し、配当目標などを引き上げて株主還元を手厚くする方針を示した。中計期間(23年3月期〜27年3月期)で5000億円以上としていた目標を7000億円以上に引き上げた。
今回追加する株主還元2000億円分のうち500億円を25年3月期〜27年3月期の配当に回す。それぞれの年間配当は85円とする。1000億円は今回の自社株買いに充てるため、残りの500億円は自社株買いを含めたさらなる株主還元を検討していく。
同日発表した24年3月期の連結決算は純利益が前の期比85%減の1047億円だった。山鹿徳昌専務執行役員は同日のオンライン記者会見で「減益要因のほとんどがコンテナ船事業だ」と語った。新型コロナ下で混乱した物流網が正常化したほか、業界で新造船の投入が相次ぎコンテナ船の運賃が下落した。セグメント別でコンテナ船事業の経常利益は92%減の481億円となった。
25年3月期の連結純利益が前期比15%増の1200億円になると見込む。鉱石などをばら積み船で運ぶドライバルク事業で中国を中心に荷動きが堅調に推移する。税効果会計による利益押し下げの影響が消えることも大きい。
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