ソフトバンクの宮川潤一社長は9日、東京都内で開いた決算発表記者会見で、無料通信アプリ「LINE」の個人情報流出問題を受け、LINEヤフーへの出資を巡り韓国IT大手ネイバーの崔秀妍最高経営責任者(CEO)とトップ同士で交渉していることを明らかにした。ソフトバンクによるLINEヤフーへの出資比率引き上げを求める総務省の意向を踏まえた対応。
ネイバー側への不正アクセスで利用者らの個人情報が流出し、総務省はLINEヤフーを2度にわたり行政指導。同社が業務委託するネイバーが事実上の親会社として資本面でも支配する現状を問題視し、資本関係の見直しを求めていた。現在はLINEヤフーの筆頭株主である中間持ち株会社にネイバーとソフトバンクが折半出資している。
宮川氏は、LINEヤフーから要請を受けて崔CEOと交渉を始めたと明かし、出資比率については「まだ議論になっていない」としながらも「50ずつ持ち合っているので、1株でも動けば一方がマジョリティーになる。事業会社として影響のない範囲で冷静に判断したい」と述べた。
民間企業の資本関係に政府が踏み込む異例の対応に韓国国内で批判もあることについては「LINEヤフーのセキュリティーガバナンス強化と、互いに成長できるよう議論し、ネイバーもテーブルについてくれている」と述べた。
宮川氏によると、この日の2024年3月期連結決算の発表に合わせて結論を出そうと前日も交渉したものの、継続審議になったという。LINEヤフーが総務省に報告する次の期限は7月1日だが、「間に合えば間に合わせたいが、直感ではそこまでにまとまるのは非常に難易度が高いと思う」との見方を示した。【藤渕志保】
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