特集は外国人観光客です。コロナ禍が明け、さらには円安も手伝い、信州にも多くの外国人客が訪れています。人気スポットはもちろんですが、従来は少なかった場所にも。信州での楽しみ方は広がりを見せています。


■石畳に膝をつき、両手を合わせ

朝6時の善光寺。

境内には一般の参拝客に混じって外国人の姿がありました。


ガイドの説明:
「Please make a line.(列になってください)How to get blessing.(ご利益の受け方を説明します)」

ボランティアガイドの指示に従って一列に並んだのは、イギリスの旅行会社が企画したツアーの参加者。

朝の法要「お朝事」に行われる「お数珠頂戴」を待ちます。

石畳に膝をつき、両手を合わせてー。


仏の功徳を授けてもらうお数珠頂戴。

この日は、大勧進の小堀光雄副住職、大本願の鷹司誓栄副住職が執り行い、一行はそれぞれの法要も見学しました。

イギリスから:
「(お数珠頂戴は)私にとって貴重な体験となった。善光寺を中心とした長野の雰囲気や自然がきれいですばらしい」

アメリカから:
「天台宗と浄土宗の違いも見られたし、大勧進と大本願の法要の違いも分かった。お数珠頂戴の時の感触が(大勧進と大本願で)違った。いい体験でした」

ツアーは東京や京都、金沢などを2週間かけて巡る内容で、前日は善光寺の宿坊に泊まったということです。

ボランティアガイドの小池順造さんによりますと、外国人のツアー客は10年ほど前から増え始め、コロナが明けてからさらに増えている感触があるということです。


■人気スポット 松本城

外国人に人気のある信州の観光スポットと言えば、白馬や野沢温泉のスキー場、スノーモンキーで知られる地獄谷野猿公苑、世界的なガイドブックに掲載されてから街道を歩く人が急増した妻籠宿などが挙げられます。

一方、松本の定番はやはり松本城。日本らしさが感じられる人気スポットです。

オランダから:
「本当にすてきだ。きのう来た時は雨だったので、きょうは全然違って美しい」


2023年度、訪れた外国人客は過去最多の約16万人。

4月も2万6000人余りと4月としては過去最多となりました。


■8割から9割がヨーロッパから

増加の勢いを感じている場所がお城の南・中町通りにもありました。

5月1日、リニューアルオープンした「ぬのや旅館」です。

ぬのや旅館・塩見透さん:
「フランス、イギリス、ドイツあたりのお客さまが多い。全体の8割から9割はヨーロッパのお客さま」


戦前の1938年に建てられた「ぬのや旅館」は、行商人などに親しまれたかつての「商人宿」。

オーナーが高齢となって存続が危ぶまれましたが、白馬村で2軒の宿泊施設を経営する塩見透さんが受け継ぎ、2023年夏から改装工事を進めてきました。

古さはそのままに、12部屋から6部屋にしてゆったりくつろげる空間にし、以前はなかった部屋専用のトイレとシャワーも設けました。

ぬのや旅館・塩見透さん:
「建物自体が魅力のある建物ですので、その雰囲気を壊さないで最低限のリフォームをするか、建物の価値を高めることを意識した」


外国人客は、以前から全体の6割ほどを占めていましたが、リニューアルの効果もあってか今は8割から9割に上昇。

特にヨーロッパの人が多いそうです。


ぬのや旅館・塩見透さん:
「ハロー ウェルカム バック」

こちらは二泊で予約したイギリスの夫婦。

イギリス人女性:
「インターネットを見てる時に、予約サイトで(見つけた)。私たちは伝統的な建物が好き、だからここを選んだの。ジャパニーズスタイルの布団や畳、和食も素晴らしい」

ぬのや旅館・塩見透さん:
「ヨーロッパに行くと感じるのは、古い建物を非常に大事にされている。歴史や文化が非常に好きなので、彼らのニーズにマッチしているのかな」


■わさび農場も人気

松本から少し離れた場所でも変化がー。

こちらは安曇野市の大王わさび農場。外国人客の入り込みはコロナ前に戻りつつあり、これまではアジアの団体客がメインでしたが、今年はヨーロッパの個人客が増えているといいます。

大王わさび農場・田村歩さん:
「ヨーロッパ、フランスのお客さまが結構多く来ていただいている状況。近くにアルペンルートが今の時期、開通していて、そういったお客さまが流れてきてこちらに立ち寄っていただくことが考えられる。(円安の影響は?)そうですね、一番印象はあると思います」


訪れた理由を聞いてみるとー。

イスラエルから:
「私は日本が大好きで、ワサビも好きで、ワサビの育っているところを見たかった」


フランスから(夫):
「松本城に行って時間があったからここに来たんだ」

妻:
「私たちはワサビが大好きです。(どうして?)おいしい、フランス人はワサビが好きなんです」

フランスから(夫):
「どのように成長しているかを見るのは興味深い」

ニュージーランド(夫):
「ワサビの育つ様子を見たことがなくて、どうやって育てられているのか見たかったのとアイスクリームを試したかった。(アイスクリームはどう?)ヤミー、おそしいです」

妻:
「ナイス、おいしい」

海外は日本食ブーム。寿司などでワサビの味を知り、興味を持った人が多いようです。

1カ月の予定で日本を旅するイギリス人のイザベラ・アレアーノさん(30)も以前からワサビが好きだったと言います。

イギリス人・イザベラ・アレアーノさん:
「すしに入ってるのが好きで、とてもおいしいと思う。どうやってわさびが育ってるか見られて楽しい、きょうはとても晴れているし」


信州は東京や富士山を巡る途中で立ち寄りました。お気に入りの写真を見せてもらうと。

地獄谷野猿公苑にて―。

イザベラ・アレアーノさん:
「ベイビー、サルの赤ちゃんよ。かわいいー」

善光寺花回廊も―。

イザベラ・アレアーノさん:
「素晴らしかった、たくさんの花がありました」


団体客に、個人客。

日本の文化を肌で感じようと多くの外国人がさまざまな場所に足を延ばしていて、信州の楽しみ方も多様化しているようです。

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