オランダのルッテ首相がNATOの次期事務総長に内定した=AP

【ブリュッセル=辻隆史】北大西洋条約機構(NATO)は20日、10月1日に任期が切れるストルテンベルグ事務総長の後任にオランダのルッテ首相を充てる人事を内定した。20日までに加盟32カ国が同意した。2010年からオランダ首相を務めるルッテ氏の外交経験を評価した。

事務総長に立候補していたルーマニアのヨハニス大統領が20日にルッテ氏の就任に賛成する意向を示した。ルッテ氏に反対してきたハンガリーのオルバン首相も18日に容認しており、NATOの重要な決定に必要な全加盟国の同意を得た。

事務総長は加盟国の文民代表からなる最高意思決定機関・北大西洋理事会の議長を務め、加盟国間の調整役を担う。

ルッテ氏は22年のロシアのウクライナ侵略後、オランダによる積極的な支援を主導した。23年7月、内政の混乱を受け内閣総辞職を表明したが、新内閣の発足が遅れ暫定的に政権を運営している。

ストルテンベルグ氏は18日、ルッテ氏には豊富な外交経験があると評価した。ルッテ氏はバイデン米大統領との関係も良好とされ、米国が求める対中半導体規制でも協調する。

09〜14年に事務総長を務めたデンマーク元首相のラスムセン氏、14年に就任したノルウェー元首相のストルテンベルグ氏に続き、3代連続で加盟国の首相経験者が就任する。

NATOを巡っては、11月の米大統領選で返り咲きをめざすトランプ前大統領が否定的な発言を繰り返す。欧州でもハンガリーが重要な意思決定を阻む場面が目立っており、調整役としての事務総長の役割の重要性が増している。

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