相場の反発力の弱さは不安心理を映す(写真はニューヨーク証券取引所)=AP

【ニューヨーク=竹内弘文】6日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比294ドル39セント(0.8%)高の3万8997ドル66セントで引けた。1000ドルあまり下落して約2年ぶりの下げ幅を記録した前日から反発したものの、前日の下げを取り戻すには至らなかった。相場変動率の高さを背景に積極的に買い向かう動きが限られた。

ダウ平均は米景気の先行き不安の高まりを背景に、8月1〜5日の3営業日で計2100ドル程度急落していた。6日は市場参加者の景況感を更新するほどの経済指標の発表はなかったが、直近までの下げが大きかっただけに自律反発狙いの買いが入ったようだ。

前日比の上昇幅は取引時間中に一時750ドルに迫る場面もあった。その後、取引終了間際に縮小した。相場の伸び悩みは荒い値動きのために中長期投資家は買いタイミングを探りあぐねている。

オプション取引動向から算出される米株式予想変動率、VIX指数は27台となり、38台へ急騰していた前日の流れを引き継いで高水準で推移した。一段の相場下落に備えるプット(売る権利)買いなどが広がり、指数を押し上げた。VIX指数は金融市場の不安感を映すため「恐怖指数」との別名も持つ。年始から7月末までは10〜20で推移していた。

米サスケハナ・インターナショナル・グループのデリバティブ戦略共同責任者、クリス・マーフィー氏は「相場急落で損失を経験した市場参加者が多いため、VIX指数がすぐに(急落前の)15といった水準に戻るとは思わない」と語っていた。本格的な相場反発に向けては、市場参加者の不安が一定程度収まる必要がありそうだ。

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