【ニューヨーク=竹内弘文】3日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅反落し、前週末比626ドル(1.5%)安の4万0936ドルで引けた。ダウ平均が1000ドル超下落した8月5日以来の下げ幅を記録した。前週末に史上最高値を付けたばかりだが、経済指標は市場予想より下振れするなど景気減速への警戒感がくすぶる。

ダウ平均の下げ幅は一時800ドルに迫った。多くの機関投資家が参照するS&P500種株価指数も前週末比2.1%安、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も同3.3%安となった。

ダウ平均採用銘柄ではないが、半導体最大手エヌビディアは9.5%安となり、4月中旬以来の下落率となった。QUICK・ファクトセットによるとエヌビディアの時価総額は前週末比で約2830億ドル(約41兆1000億円)目減りした。米投資情報誌バロンズによると米国上場銘柄の1日における時価総額減少額で史上最大を記録したという。

さえない経済指標が株価指数を押し下げた直接の要因となった。米サプライマネジメント協会(ISM)の8月の製造業景況感指数は47.2となり、米ファクトセット集計の市場予想(47.5)をわずかながら下回り、好不況の節目50を5カ月連続で下回った。

7月分の46.8より改善したとはいえ「在庫要因が指数上昇の大部分を占める」と英キャピタル・エコノミクスの北米担当エコノミスト、トーマス・ライアン氏は指摘する。需要の強さを映す新規受注指数は悪化した。S&Pグローバルが発表した8月の米国の製造業購買担当者景気指数(PMI、確定値)も47.9で市場予想より下振れした。

高値警戒感も株売りを後押しした。8月初旬の相場急落を経て、ダウ平均は8月下旬に再び最高値を更新。S&P500も7月中旬の高値に迫っていた。

9月17〜18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における利下げ開始を金融市場は確実視し、米経済の軟着陸(ソフトランディング)期待自体はしおれていない。ただ、株価動向を探る上で重要指標を見極めたいとする雰囲気が強い。

焦点は6日発表の8月の雇用統計だ。7月分の悪化は市場心理の悪化を招いただけに今回の結果が相場基調を決定づける「真の試金石になる」と米モルガン・スタンレーのチーフ米国株ストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は説明する。

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