死亡したのは、8月行われたパリオリンピックの陸上女子マラソンで44位だったウガンダのレベッカ・チェプテゲイ選手(33)です。

現地メディアが警察などの情報として伝えたところによりますと、チェプテゲイ選手は練習拠点としていた隣国ケニアの自宅で1日、元交際相手の男にガソリンをかけられたあと火をつけられたと見られ、全身に大やけどをして治療を受けていましたが、5日に亡くなりました。

ウガンダオリンピック委員会のルカレ会長はSNSに「卑劣かつ愚かな行為によって偉大なアスリートを失った」と投稿し、強く非難しました。

ケニアでは女性に対する暴力が社会問題となっていて、おととしの調査では15歳以上の女性の34%が「身体的な暴力を受けたことがある」と回答し、その多くが夫または交際相手による暴力だったということです。

女子のトップ選手が被害を受ける事例もあとを絶たず、事件を受けてケニアのスポーツ担当相は「われわれは性差別に基づく暴力と闘うためもっと行動しなければならない」と呼びかけています。

国連報道官も非難

事件について国連のデュジャリック報道官も5日、定例の記者会見でとりあげて非難しました。

このなかで「この記者会見では、連日、世界の平和や安全保障にかかわる大きな問題について時間をさいているが、きょうはあまりに頻繁に無視されているより大きな問題を象徴するある人の悲劇的な死について触れたい」と切り出しました。

そして「世界では平均して11分ごとに1人の女性や少女がパートナーや家族によって殺害されている」とする国連機関の調査結果を引用したうえで、「ジェンダーに基づく暴力は世界で最も広がっている人権侵害の一つだ。わたしたちは女性の尊厳や権利を否定して弱い立場に置く、男性優位の文化の中で生きているが、それでは平和で繁栄した公正な社会にはならない。違う世界を作ることは可能だ」と述べ、女性への暴力や差別の根絶を呼びかけました。

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