自宅で組み立てができる「幽霊銃」は犯罪での使用が問題となっている=ロイター

【ワシントン=芦塚智子】米連邦最高裁は8日、製造番号がない「ゴーストガン(幽霊銃)」に対する政府規制の是非を巡って口頭弁論を開いた。銃規制に慎重な保守派の判事からも規制の維持に肯定的な姿勢を示唆する質問が相次いだ。最高裁は2025年夏までに判断を下す見通しだ。

幽霊銃はインターネットなどで購入した部品を組み立ててつくる銃で、製造番号がなく追跡が困難なため犯罪に多用され問題となっている。司法省によると、21年に押収された幽霊銃は約1万9000丁と16年の10倍以上に上った。

アルコール・たばこ・銃器取締局(ATF)による規制は、幽霊銃の製造に必要な部品キットを銃器とみなして銃規制法の対象に加えた。キットを販売する小売業者に製造番号の表示や購入者の身元確認などを義務付けた。業者や銃ロビー団体は、銃規制法の拡大解釈でATFの権限を逸脱していると訴えた。

口頭弁論では、部品キットを銃器とみなすことの是非が焦点となった。判事9人のうちリベラル派判事3人に加え、保守派のロバーツ長官やバレット判事も、銃器とみなすべきだとする政府の立場への理解を示唆した。

最高裁は保守派6人、リベラル派3人と保守に傾いている。近年、銃保有の権利を擁護する判断を相次いで出しているが、一定の規制は認めている。6月に銃の連射を可能にする装置の規制を認めない判断を下した一方で、ドメスティックバイオレンス(DV)で接近禁止命令を受けた加害者が銃を保有することを禁じた連邦法は合憲とした。

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