イスラエル軍は、イスラム組織ハマスの最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏を殺害したと発表しました。
イスラエル軍は17日、ガザ地区南部で16日に実施した軍事作戦で、最高指導者のヤヒヤ・シンワル氏を殺害したと発表しました。
シンワル氏は2023年10月のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃の首謀者とされ、イスラエルにとって最大の標的の1人でした。
ネタニヤフ首相は声明を出し、「悪に打撃を与えたが人質全員が戻るまで、全力で戦い続ける」と宣言しました。
また、アメリカのバイデン大統領はネタニヤフ氏と電話会談し、ガザでの戦闘を「今こそ終わらせ人質を解放する時だ」と強調。
停戦交渉のため、近くブリンケン国務長官をイスラエルに派遣する方針です。
一方、シンワル氏殺害に関し、ハマス側からの声明などはこれまでのところありません。
このニュースについて、フジテレビ・立石修解説委員室長が詳しくお伝えします。
イスラエルの大規模攻撃の首謀者とされている、ハマスの最高指導者シンワル氏をイスラエル軍が殺害したと発表しました。
双方にとってはどんな意味を持つのでしょうか?
シンワル氏は、ガザの現地で自らゲリラ戦を陣頭に立って指揮してきた人物で、ハマスの戦闘員にとっては“カリスマ的存在”といえます。
そのため、ハマスにとっては非常にダメージが大きいとみられています。
一方で、イスラエルにとっては最大のターゲットで、これを殺害したということはこの1年で軍事的に最も大きい成果といえます。
そのイスラエル軍が、シンワル氏の殺害直前の様子を公開しました。
映像からどんなことが分かるのか見ていきます。
映像は、イスラエル軍がドローンで撮影したものです。
ドローンが廃虚と化した建物中に侵入していき、中央奥のソファに座る男を発見します。
スカーフを顔に巻いていますが、これがシンワル氏とみられる人物です。
最後の抵抗なのか、左手に持っていた棒のようなものをドローンに向けて投げ込む様子が捉えられています。
映像は、ここで一度終わっています。
シンワル氏については、イスラエル軍の精鋭部隊が1年にわたって探してきたものの、捕まえることができていませんでした。
唯一、姿を確認できたのは2024年2月にイスラエル側が公開した映像で、ハマスが造った地下トンネルをシンワル氏が側近らと移動する姿でした。
このようにシンワル氏は、巧みに地下のトンネルに身を隠しながら指揮を続けてきました。
それに対し今回の映像では、シンワル氏は1人きりで、壁も完全に破壊されむき出しになった建物に座っていて、銃も所持していませんでした。
この映像からは、イスラエルによるトンネル網、つまりハマスの拠点の破壊が徹底的に行われている可能性が読み取れます。
シンワル氏の殺害を受け、アメリカのバイデン大統領は「停戦に向けて前進する時だ」としています。
一方で、イスラエルのネタニヤフ首相は「戦争はまだ終わっていない」と発言しています。
今後のガザ地区の戦闘がどうなっていくのか、停戦交渉が進む可能性があるのかについては、むしろ戦闘が強まる懸念もあるとみられています。
ガザにはまだ100人以上のイスラエル人の人質がいますが、イスラエル軍は今回のシンワル氏の殺害で軍事作戦について自信を深めています。
したがって、人質解放交渉よりも軍事力を使って解放を進める、つまりハマスのせん滅まで目指す可能性もあるとみられます。
ハマス側も、人質の即時解放は自らの消滅につながりかねません。
バイデン大統領も「停戦に向けて前進する」としていましたが、この先も注視していきたいと思います。
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