イスラエル軍は15日、レバノンの首都ベイルート南部を空爆した=ロイター

【エルサレム=共同】イスラエル軍とレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの戦闘を巡り、駐レバノン米大使は14日、ヒズボラ側窓口を担うレバノン国民議会のベリ議長に停戦草案を渡した。ロイター通信が伝えた。イスラエルの要求を反映した内容とみられ、ヒズボラが交渉に応じるかどうかは不透明。イスラエル軍は15日もヒズボラの影響が強いレバノン首都ベイルート南部を空爆した。

米紙ワシントン・ポストは13日、イスラエルのネタニヤフ首相がトランプ次期米大統領に外交成果をもたらすため、レバノン停戦を進めようとしていると報じた。草案の詳細は不明だが、ロイターによると関係者は「レバノン側の見解を聞くための草案だ」と話した。

イスラエルはヒズボラとの戦闘で、自国北部から避難した住民の安全な帰還を目標に掲げる。ヒズボラにはレバノン南部を流れるリタニ川以北への撤退を要求。イスラエル軍が「差し迫った脅威」に対応してレバノン領内を攻撃できる内容が含まれるとの報道がある。

ヒズボラとイスラエル軍は昨年10月以降、交戦を続け、世界銀行の推計によるとレバノンで計85億ドル(約1兆3300億円)の物的損害や経済的損失が出た。住宅10万戸近くが被害を受け、死者は3300人を上回る。

イスラエル軍は14日、シリアの首都ダマスカスを空爆し、シリア人権監視団(英国)によると17人が死亡した。イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザでイスラム組織ハマスと共闘する過激派「イスラム聖戦」の拠点が標的だったと主張した。

イスラエル軍は15日もガザで攻撃を続行。パレスチナ通信によると、中部デールバラハや南部ラファ付近で住宅が空爆され、計4人が死亡した。ガザ保健当局によると、戦闘開始後のガザ側死者は4万3700人以上。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。