14日、テヘランで会談するグロッシ事務局長㊧とイランのペゼシュキアン大統領㊨=ロイター

【テヘラン=共同】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は15日、イラン核開発の中枢を担う中部ナタンズとフォルドゥの施設を視察した。イラン原子力庁報道官が共同通信に明らかにした。イランはIAEAの一部査察を拒否し、核開発の全容把握は困難な状況。グロッシ氏は現状を直接確認したい意向とみられる。

イラン政府高官によると、欧米との対立を深めた保守強硬派ライシ前政権は、グロッシ氏が求めた核施設の視察を認めなかった。対外融和を目指す改革派ペゼシュキアン現政権は視察を認めることで、核問題を懸念する欧米との緊張を緩和したい狙いがありそうだ。

ペゼシュキアン大統領は14日、首都テヘランでグロッシ氏と会談し、IAEAに協力する意向を表明した。「わが国の平和的な核活動に関する疑惑を晴らす」ためとし、「核兵器を求めていないし、今後も求めるつもりはない」と核兵器保有の考えを重ねて否定した。大統領府が発表した。

過去にイランで未申告施設からウラン粒子が検知された問題で、欧米は非難を強めている。イランが核開発を制限する代わりに欧米が制裁を解除する核合意は、トランプ前政権下で米国が離脱、対抗措置としてイランが核開発を拡大し機能不全に陥った。合意再建に向けたバイデン米政権とイランの間接協議は停滞。トランプ氏は次期政権でイランに強硬姿勢で臨むとみられ、協議進展の見通しは低そうだ。

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