ニューヨークのウォール街

【NQNニューヨーク=戸部実華】5日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一進一退で始まり、午前9時35分現在は前日比45ドル82セント安の4万4968ドル22セントで推移している。前日に米主要3株価指数がそろって最高値を更新した。短期的な相場の過熱感から主力株の一角には利益確定売りが出ている。半面、米景気が底堅さを保つなかで利下げ継続が見込めるとの観測は相場を支え、ダウ平均は小幅に上昇する場面がある。

前日は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が利下げを始めた9月に想定していたよりも「米経済は強い」との認識を示した。一方、労働市場が軟化した場合は経済を支えるとも強調した。市場では米経済が堅調を維持しながら、12月もFRBが追加利下げに動くとの観測から株買いが広がった。ダウ平均は初めて4万5000ドル台で終え、5日は目先の利益を確定する売りが出やすい。

6日には11月の米雇用統計の発表を控えている。内容を見極めたい雰囲気も強く、買い手控えにつながっている。5日朝発表の週間の米新規失業保険申請件数は22万4000件とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(21万5000件)を上回った。一方、総受給者数は前の週から減った。

もっとも、ダウ平均の下値は堅い。相対的にみた米経済の強さが意識され、米国株を積極的に売る動きは広がりにくい面がある。代表的な暗号資産(仮想通貨)のビットコインの価格が米東部時間4日夜に初めて10万ドルの大台に乗せたことも、投資家心理を支えている。ダウ平均の構成銘柄ではないが、仮想通貨への投資で知られるソフトウエアのマイクロストラテジーや仮想通貨交換業のコインベース・グローバルが大幅高となっている。

ダウ平均の構成銘柄では、前日に決算を好感した買いが膨らんだセールスフォースは売りが先行した。ユナイテッドヘルス・グループやハネウェル・インターナショナルも安い。一方、シスコシステムズやスリーエム、JPモルガン・チェースは上昇している。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は5日続伸して始まった。前日に付けた最高値(1万9735)を上回って推移している。

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