IAEAの車列に攻撃 ウクライナとロシア 双方が相手の攻撃と非難
ロシア国防省 “ウクライナ軍が米供与のミサイルで攻撃”
米国防総省“ロシア 数日中に中距離弾道ミサイル発射の可能性”
フィンランド首相 “ウクライナ置き去りにした平和はない”
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、ウクライナ南部にあるザポリージャ原子力発電所はロシア軍に占拠されていて、IAEA=国際原子力機関は安全管理に携わる要員などの派遣を続けています。こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は10日、SNSで、IAEAの車列がロシアの無人機による攻撃を受けたと発表しました。SNSに掲載された写真では、車両1台の損傷が確認できますが、死亡した人やけが人はいなかったということです。ゼレンスキー大統領は「ロシアによる意図的な攻撃だ」と主張し、国際社会は対抗措置を取るべきだと訴えました。これに対し、ロシア外務省は11日、攻撃したのはウクライナ側だと反論する声明を発表し、非難の応酬となっています。これについて、IAEAのグロッシ事務局長は攻撃を受けたのは交代するIAEAの要員を運ぶための車両だったとした上で「原発の安全管理を担う人たちへの攻撃は受け入れがたい」と述べ、どちらが攻撃したか特定を避けつつ、攻撃を非難しました。
ロシア国防省は11日、ロシア南部ロストフ州タガンログにある軍用飛行場に、ウクライナ軍がアメリカが供与した射程の長いミサイルATACMSで攻撃を行ったと発表しました。使われたATACMSは6発で、すべてを迎撃したとしていますが、ミサイルの破片が落下し、複数の兵士がけがをしたということです。そのうえで、国防省は「欧米製の射程の長いミサイルによる今回の攻撃に対して、しかるべき措置がとられることになる」としてウクライナへの報復攻撃を示唆しました。プーチン大統領は、ロシア軍が11月21日、ウクライナ東部への攻撃で極超音速の新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を使用したと明らかにした際、攻撃は、ウクライナが欧米から供与された射程の長いミサイルで、ロシア領内に攻撃を行ったことへの報復だとしていました。
アメリカ国防総省のシン副報道官は、11日の記者会見で、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアが今後新型の中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を発射する可能性があるかを問われ「今後数日のうちに発射する可能性がある。正確な日付はわからない」と述べました。その上で「たとえロシアがこのミサイルを発射しても、戦場でのゲームチェンジャーにはならない。これは、ウクライナにさらなる被害と犠牲者をもたらそうという試みにすぎない」と述べ、戦況を大きく変えるものではないという認識を示しました。
日本を訪れているフィンランドのオルポ首相は、11日都内でNHKの単独インタビューに応じました。この中で、アメリカのトランプ次期大統領が、ロシアによるウクライナ侵攻をめぐって、「即時に停戦し、交渉を開始すべきだ」と両国に呼びかけたことについて、オルポ首相は、トランプ氏の平和を求める意欲は支持したものの「ウクライナやウクライナの人々を置き去りにした平和はありえない」と述べました。その上で「ウクライナへの支援を続け、停戦交渉の場でのウクライナの立場を強めることが重要だ」と述べ、仮に交渉を行うにしてもウクライナが有利な立場で臨むことができるよう、各国は軍事支援を減少させるべきではないと訴えました。また、トランプ氏がNATO=北大西洋条約機構のあり方を見直すとしている中、オルポ首相は「ヨーロッパの国々が自身で防衛の責任をとることが大事だ」と述べ、ヨーロッパ各国が結束する重要性を指摘しました。さらに、北朝鮮兵のロシアへの派遣については「この戦争におけるとても危険で新しい現象だ」と述べ、ウクライナ情勢をめぐる情報を共有するなど、日本と連携する意義を強調しました。
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