京都産業大学(京都市北区)は、文系と理系の10学部、約1万5千人の学生が一つのキャンパスで学ぶ総合大学だ。学部や学年を超えて多様な学生が出会う「ワンキャンパス」の特長を生かし、起業家精神(アントレプレナー)を養う学び、夢を実現する企画への奨励金などを通じて、学生を応援している。また、キャンパスの近くにスポーツや課外活動の施設もあり、150以上のクラブやサークルが活動。

カフェの開業やお笑いライブの開催、ラグビー部の取材など、それぞれの夢を実現した学生の姿を紹介する。

文理学生の協働から新しい形のカフェ誕生

キャンパス内で「SOI café」を運営する学生たち

京都産業大学(京都市北区)のキャンパス内で展開されている「SOI café」。学生運営でコーヒーなどドリンクを提供するカフェだ。「落語をやっていたり、ラップをやっていたり、面白い学生たちが交流しています」 と笑うのは、店主を務める法学部3年次生の杉田翔さん。SOI caféを始めたメンバーの一人だ。

カフェの発端となったのは、杉田さんが受講した「アントレプレナー育成プログラム」。全学部、全年次の誰もが参加できる京産大独自のプログラムで、講義は、起業の基礎から、課題を解決するアイデア創出、プレゼンテーションという流れで進む。講義内で杉田さんが属したグループは、オレンジジャムを使ったドリンクの販売を発案し、カフェの開業(起業)へと発展した。「学生、教員、外部ゲストがつながる場を作りたいという想いもありました」。オープンは2023年7月7日。七夕の日に「つながりたい」と願いを込め、店名に”Source of Innovation”を略した“SOI”とつけた。

店主の法学部3年次生の杉田翔さん

当初は、全く知識がない中でスタートした。コーヒー豆の調達のつてもなく、教授の導きで、コーヒーショップを営む京産大卒業生と出会った。ノウハウの伝授に加え、機材の提供にも恵まれた。オープン直後、企画開発した商品が売れない悩みもあった。知恵をくれたのは理系学部の学生。「私自身は直感で動くタイプなので、客層や売り上げを分析する、ロジカルな視点に助けられました」。京産大が文系も理系も一堂に会するワンキャンパスだからこそ、カフェの継続がかなっている。

起業したことで、自分自身も変化した。「リーダーとしてチームをまとめる折衝力、社会で生き抜く自信もつきました。一歩踏み出せば、おもしろい景色が広がっていたので、みんなにチャレンジしてほしいです」。今後、この事業を後輩に引き継ぎたいという。「カフェでの交流が、10年、20年と続いてくれたら」。学生の未来につながる場となることを願っている。

プロの芸人を呼んでお笑いライブ

学生のチャレンジを応援する制度を活用して、お笑いライブを開催した井澤さん(左)と生田さん(右)

レッドカーペット上で繰り広げられる、軽妙なトーク。約500人の笑い声が会場に響き、拍手が起こった。京都産業大学(京都市北区)で昨年11月に開かれたお笑いライブ「笑門来福」でのこと。

企画したのは法学部4年次生の井澤匠さん、経営学部4年次生の生田篤史さん。2人は大学のクラブ「落語長屋」で、漫才コンビ「ヴィンチェンツォ」として活動していた。井澤さんはボケ、生田さんはツッコミ。「いろんな人に刺さるお笑いって何やろな」「やっぱりライブちゃうか」と2人で話し合い、学内でライブを開催することにした。

ライブを多くの人に楽しんでもらうため、2人は、京産大が学生から企画を募り、採択されると奨励金が授与される「サギタリウス・チャレンジ」に応募した。プレゼンテーションでは、冒頭で得意な漫才を披露してから臨んだことで、熱意が審査員に伝わり、採択された。

舞台の成功を目指して、2人は裏方の作業にも熱心に取り組んだ。井澤さんは運営、生田さんはポスターのデザインや映像編集。当初の計画では賄いきれず、企業への協賛を募るなどして無事に資金を集めることができた。

京産大の魅力を語るヴィンチェンツォのふたり

ライブには吉本興業のお笑いコンビを招き、自分たちは第一部でトリを務めた。第二部ではコラボ団体とチアダンス、よさこいにも挑戦した。井澤さんは「この辺でええやろって、妥協したくない」と、チアダンスのため7キロ減量した。

初めて生のお笑いを見た時、「漫才師って格好ええな、生やとこんなに笑えるんや」と感動したという2人。ライブ当日、大笑いする観客を見て、胸が熱くなった。

「笑門来福」を最後にヴィンチェンツォは解散し、井澤さんは就職、生田さんは芸人を目指す。「京産大のみなさん、応援してくれて、ほんまにありがとう! いろいろな活動をしている人がいる京産大はめっちゃ幸せな場所でした!」

大学ラグビーを記事にする喜び

「京産大アスレチック」の紙面を手に、大学スポーツの魅力を語る藤田さん

「大学でラグビーを取材するようになり、私の人生は大きく変わりました」

京都産業大学(京都市北区)で学内スポーツ紙を発行する、「京産大アスレチック」部員の外国語学部3年次生、藤田芽生(めい)さんは、きらきらと目を輝かせて話す。

藤田さんは中・高校で吹奏楽部に所属していた。新しいことに挑戦しようと京産大アスレチックに入った。しかし、担当になったのは見たこともなかったラグビー。まずはルールを覚えるところから始め、今では囲み取材や記者会見の時、プロのスポーツ記者に交じって質問もできるようになった。一眼レフのカメラで写真も撮影する。

印象的だった試合は、2023年12月の関西大学ラグビーリーグ最終戦。序盤、相手の天理大学がリードしていたが、京産大がロスタイムに逆転し、23‒22で優勝を決めた。初の3連覇を成し遂げ、「泣いたことはあまりないですけど、この試合は涙が出て。飛び上がって喜びました」。

将来の夢について語る藤田さん

大学スポーツはプロスポーツに比べると、メディアで華々しく取り上げられることは少ない。「毎年チームの顔ぶれが変わるからこそ、『一瞬一瞬を大切にしたい』という、みんなの思いがある。学生ならではの視線で面白さを伝えたい」

就職活動を前に、スポーツ記者になりたいと考えるようになった。「ゆくゆくはラグビーを担当したいです。取材した選手がラグビーW杯の日本代表になって、再会するのが夢ですね」

京産大はワンキャンパスで、寮やグラウンドと大学が近接している。「スポーツ以外にもさまざまなことに挑む人が身近にいて、そんな人たちを応援したいし、自分も頑張ろうと思わせてくれるキャンパスです」

香川の高校を卒業して大学に入学し、最初は心細かったという。「周りの人たちに支えられ、伸び伸びと活動できました。私も一生懸命な人を応援できる大人になりたいです」

京都産業大学公式サイト

提供:京都産業大学

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