文部科学省=東京都千代田区で2017年2月21日午前9時6分、北山夏帆撮影

 文部科学省の諮問機関・中央教育審議会(中教審)の特別部会は13日、教員不足の解消に向けた総合的な方策の「まとめ案」を示した。残業代を支払わない代わりに一律支給する「教職調整額」については、文科省が4月に示した素案通り、現行の給料月額の4%から10%以上に引き上げるとした。

 まとめ案は、教員の処遇改善▽働き方改革の加速▽学校の指導・運営体制の充実――を対策の三つの柱と位置づけた。具体的な取り組みとして、教職調整額の引き上げのほか学級担任手当や管理職手当の改善、働き方改革の進捗(しんちょく)状況の公表、勤務間インターバルの導入、若手教員の支援強化を盛り込んだ。

 その上で、これらの対策は「相互に密接な関連を有し、一体的・総合的に推進する必要がある」と強調。教員の働き方やワーク・ライフ・バランスの尊重が教職のイメージ改善に不可欠だとし、国に対して教職調整額を規定する教員給与特別措置法(給特法)の改正や予算措置を求めた。

 教職調整額は1972年に施行された給特法で定められている。4%は、同法制定前の66年時点の労働時間で、当時の教員の平均残業時間が月約8時間だったことが根拠となっている。現職の教員らからは「教職調整額の引き上げでは長時間労働の是正にはつながらない」と批判の声が上がる。

 特別部会では残業代の導入についても議論したが「長時間労働を助長する」「(どこまでが業務かを)切り分けることは学校現場になじまない」として見送られた。【斎藤文太郎】

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