福岡県北九州市を舞台に連日熱戦が繰り広げられている、ネーションズリーグ。男子日本代表は予選ラウンド第1週に続き、第2週でも3勝1敗と、2大会連続の表彰台、そしてパリオリンピックでの52年ぶりのメダル獲得に向け着実にチーム力を上げている。そんなネーションズリーグを支えているものの1つに、地元の高校生たちの存在がある。

今大会では試合後、ロッカールーム前で勝ったチームの選手たちに小さな花束がプレゼントされている。これは出場選手たちを少しでも「おもてなししたい」という地元福岡県の発案で実現したもの。花の産出額が全国3位という福岡で育てられた花が使用され、他にも会場横の公園やラウンジ、会場内のトイレなどにも多くの花が飾られるなど大会を彩っている。花束は毎朝、その日の試合分(1チームあたり登録選手14人と監督分で15個)が届けられる。

当初は誰が選手たちに花束を渡すのか、決まっていなかった。そこで選ばれたのが、ボランティアで大会運営を手伝ってくれている地元の高校生たち。コートの中ではボールを選手に渡したり拾ったりするボールボーイは、試合中に床についてしまった選手の汗などを拭くモッパーの役割を担っており、大会になくてはならない存在だ。そのお礼にと福岡県が代表選手と交流できる場を設けた。

6月8日、男子日本代表の福岡での最終戦。この日、ボランティアで大会に参加していたのは、福岡県立八幡工業高等学校男子バレーボール部の生徒たち38人。日本チームの勝利を目前にロッカールーム前で準備をする生徒たちは、興奮が止まらない様子だった。

激戦を終えた選手たちがロッカールームに戻ってくると1人1人に手渡される小さな花束。この日は、地元北九州市の花「ひまわり」があしらわれていた。それをもらった選手たちからは、自然と笑みがこぼれる。憧れのトップ選手たちに緊張の面持ちで花束を贈る高校生と、それに応えるように写真撮影に快く応じる選手たち。決して長い時間とは言えないが、普段会うことのできない選手たちとバレーボール界の未来を担う高校生たちとの交流は、かけがえのない瞬間だ。

男子日本代表キャプテンの石川祐希(28)に花束を渡した生徒は、「渡す前はとても緊張していて。来た瞬間すごくかっこよくて、輝いていました。貴重な体験ができたと思います」。また、西田有志(24)に手渡した生徒は、「間近で見てテレビで見るよりも大きくて、日本のエースだなと感じました。とても貴重な体験をさせていただいて、これからの自分のバレーに生かしていきたいと思います」と目を輝かせた。

世界トップクラスのプレーが見られる絶好の機会に設けられた有意義な時間。高校生たちの何よりものチカラになっているに違いない。

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