(8日、第106回全国高校野球選手権神奈川大会1回戦 大船0―7鶴見大付)

 人さし指を空に突き出し雄たけびをあげ、ライトの守備位置まで突っ走る部員がいた。大船の主将、二俣然(3年)だ。守備に入る最初が大事だと先輩に言われ、2年前から続けているという。

 田沼宏友監督は「一番元気が良い。毎朝練習をかかさないザ・野球少年だ」と話す。

 田沼監督は元お笑い芸人。部員2人でコンビを組み、トーナメント制で漫才を披露する独自の練習をとり入れた。その名もO―1グランプリ。緊張する舞台で成果を出せるよう、度胸を身につけさせる狙いがある。

 二俣は「ポケットマネー」というコンビ名で、2年連続で優勝した。二塁打を放った初打席に緊張することなく入れたのも「漫才のおかげだと思う」。

 試合は七回コールド負け。大粒の涙を袖でぬぐい「大事な場面で守れなくて悔しい」と声を詰まらせた。野球に全力で向き合った高校生の青春が垣間見えた。(稲葉有紗)

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