(13日、第106回全国高校野球選手権香川大会2回戦、尽誠学園1―2丸亀)
「絶対に先制する」
両チーム無得点で迎えた六回表1死、三塁の好機。三塁走者の尽誠学園・岩橋修太主将(3年)に迷いはなかった。塩野圭汰選手(3年)の三ゴロの間に本塁へヘッドスライディングし、雄たけびを上げた。
直前のプレーで中前打と盗塁で好機を作り、貴重な先制点を挙げる旗振り役となった。
徳島県阿南市出身。中学時代は、今春に甲子園をわかせた最速146キロ右腕、阿南光の吉岡暖投手らと共にヤング阿南シティホープでプレーした。その仲間をライバルにすることで成長したいと、尽誠学園を選んだ。
今春の四国大会では、シティホープの仲間の多くが進学した阿南光を準決勝で破り、香川大会の優勝候補といわれるまでに躍進した。
ただ、不安がなかったわけではない。周囲の期待の大きさは時に重圧にもなり、今大会直前の練習試合では連敗が続いていた。
この日は「おばあちゃんとの約束」の文字を記した帽子をかぶって臨んだ。昨年病気で亡くなった祖母は、尽誠に進学する際に背中を押してくれた一番の理解者だった。生前に「甲子園に行くから絶対に見に来てね」と約束していた。
主将として最善を尽くし、2安打1盗塁とチームをリードした。だが、同点で迎えた九回にサヨナラ負けした。試合が終わっても悔しさで1人で立ち上がれず、西村太監督らに肩を抱えられながらグラウンドを後にした。
西村監督は「岩橋はチームの心臓。彼がいたからここまで来られた」とねぎらった。(和田翔太)
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