(13日、第106回全国高校野球選手権北北海道大会1回戦 旭川永嶺0-11旭川実)
大会注目の速球派右腕を攻略するには、とにかく気持ち良く投げさせないこと。そう考えた旭川永嶺が試合前に掲げた目標は「三振ゼロ」だった。
一回、その姿勢が最も良く表れた。2死走者なし、3番柳瀬琥汰郎選手(3年)が外角直球にタイミングを合わせた。初対戦で中前に抜けるヒット。次打者も二塁打で続き、先取点に迫った。
父、悠樹さん(44)は1995年の旭川実の甲子園初出場メンバー。3試合連続逆転勝ちで、北北海道勢初の8強入り。「ミラクル旭実」と形容された。1年の父は代走で甲子園の土を踏んだ。
柳瀬選手は小学2年で父の影響で野球を始めた。
甲子園の思い出を折につけ聞かされた。粘り強く、あきらめない。試合を重ねるごとに強くなり、ベンチにいて負ける気がしない――。
「あの旭実が自分たちがめざす姿」。地区大会を接戦で勝ち抜き、少し近づけたと感じた。
だが、旭実は高い壁だった。遊撃の守備時、速い打球にわずかにグラブが届かない。何とか収めても間に合わず、失点が重なった。「守りきれなかった。ただ、打線は追い込まれてから粘りは出せた」と、胸を張った。
父は複雑な思いで応援したという。「九回までやってほしかったが、楽しませてもらった。いい思い出になりました」。目元をはらし、息子の肩をそっとたたいた。(古源盛一)
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