(22日、第106回全国高校野球選手権大分大会準々決勝 大分7―3佐伯鶴城)
八回表2死、佐伯鶴城・狩生(かりう)聖真投手(3年)のマウンドに菅琥太朗捕手(3年)が近寄ってきた。「次の打席は代わるから最後かもしれない。150キロを投げ込んでくれ」
菅捕手は四回、打者の振り切ったバットが左手首に当たり、けがを負いながら捕球していた。狩生投手の最速は150キロ。この言葉に「思いきり腕を振って信じて投げることができた」。150キロは出なかったが、この回も無失点に抑えた。
佐伯鶴城は序盤、相手の強力打線にリードを許した。五回から登板した狩生投手。最初の打者に安打を許したが動じなかった。帽子のつばには、中学時代から意識してきた「平常心」の言葉が書いてある。
「自分の持ち味はまっすぐ。打ってみろ」。直球を主体に相手打線を翻弄(ほんろう)した。八回までに打たれた安打は2本だけ。2点差で最終回のマウンドに立った。
しかし、無死満塁のピンチを迎えた。2死まで打ち取ったが、次打者に外野へ運ばれて追加点を許した。それでも最後は3球三振で締めた。「最後の最後でまっすぐで三振が取れた。自分が持っているピッチングができた」
今後はプロをめざすという。「いろいろな人に力を与えられるようなピッチャーになりたい」。晴れやかな表情で語った。(大村久)
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