(24日、第106回全国高校野球選手権山形大会準決勝、鶴岡東6―5日大山形)

 「すきを見せるな」。連覇をめざした日大山形の笹大夏(ひろか)主将(3年)はこの夏、大きくリードする試合でも声を出し続けた。人一倍強い思いがあった。

 この日は秋、春の県大会で敗れた鶴岡東戦。三回までに4点を挙げるも、暴投や本塁打で失点し、2点を追う展開。八回に1点差に迫り、九回も連打で1死一、三塁まで攻めたが届かなかった。

 昨夏も3番を打った。しかし、山形大会初戦の翌日、練習中に右ひざを痛める。チームは甲子園に出場したが、試合に出られなかった。甲子園で負けた夜、宿舎で新主将に指名された。

 けがは思いのほか重傷で、昨秋に手術。リハビリを経て、2月に打撃、翌3月に守備練習を始めた。温かく見守り、快く受け入れてくれた仲間に、「自分が打って勝たせる」と奮い立った。

 最後の夏は15打数9安打、打率6割。「気持ちで絶対負けるな」。仲間を鼓舞し、自らその姿勢を貫いた。

 「本当に悔しい。でも、やってきたことに悔いはない。監督さん、今までついてきてくれたチームメートに、深く感謝したいです」(坂田達郎)

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