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 パリオリンピックも中盤。ついに、陸上競技も始まりましたが、今回の陸上トラック、見ていてどこか違和感がありませんか?実は、史上初の配色になっているんです。

■前回の東京オリンピックと比べると…

 今大会の陸上トラックは、なぜ紫色なのでしょうか。

井澤健太朗アナウンサー
「トラックだけじゃなくて他の看板とかも紫なんですよね。テーマカラーが紫だから」 久冨慶子アナウンサー
「残念、違います」 田原萌々アナウンサー
「選手のユニホームと違う色を選んだ」 久冨アナ
「残念!」 森山みなみアナウンサー
「フランスの国旗がトリコロールじゃないですか。それを全部混ぜてこの色」 久冨アナ
「残念!」  実は大会公式ホームページにもありますが、紫の理由は「選手を最も映えさせるため」ということで“画面映え”ということなんです。実は、陸上トラックよく見てみると濃い紫と明るい紫で使い分けています。

 これは競技の中継の監督などをしているOBS(オリンピック放送機構)が、話し合いを重ねたうえで選手がより目立つようにコントラストを重視しているということです。

 この紫でどのくらい目立つようになったのか気になりますよね。

 前回の東京オリンピックでは赤茶色で、これが皆さんイメージするトラックの色だと思います。そして今回のパリオリンピック。2つを並べてみると、やはり紫が映えます。

 また、映えだけではなく、エコなんです。実は環境に優しい素材で作られているということで、この素材が「フランスっぽい」素材です。何だと思いますか?

田原アナ
「フランスパン」 久冨アナ
「ちょっと壊れやすそうなトラックになりそうですが…(笑)」 井澤アナ
「古くなった建築資材とか?」 久冨アナ
「ではないんですよね」  正解は、地中海の貝殻なんです。実際に作っているのはイタリアの会社ですが、トラックは通常は鉱山から採掘した炭酸カルシウムを使っています。それが今回は地中海で本当は廃棄する予定だったムール貝などの貝殻を粉砕して使っているということで、CO2の排出などを削減することができたということです。

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■「ゾーンに突入しやすくなる」効果も?!

■「ゾーンに突入しやすくなる」効果も?!

 では、このトラックの色は実際に競技をする選手にはどのような影響があるの か。これを今回は明星大学心理学部・藤井靖教授に分析してもらいました。

 まずは2016年のリオオリンピック。実は青いトラックでしたが、この青というのは「緊張を和らげて集中力を高める」効果があるということです。

 そして2021年の東京オリンピックでは赤茶のトラック。これは「緊張を高めて興奮状態になりやすくなる」。どちらもメリットがあります。

 そして今回の紫。パリオリンピックは「本来以上の力を発揮し、ゾーンに突入しやすくなる、2つの要素がそろっている」と藤井教授は言います。

 この2つの要素は、まず、紫色で緊張が和らいで心が落ち着く、リラックスという要素があります。

 そして、紫は初めての色のため、それによって新規の刺激があって興奮が高まって“サイキングアップ”という要素があり、ゾーンに突入しやすくなる土台がそろっているということです。

 今回は、棒高跳びで世界記録が出ていたり、全員が9秒台を記録した100メートル決勝もありました。もしかすると、この紫色の効果があるかもしれませんね!

(スーパーJチャンネル「なるほどハテナ」2024年8月6日放送)

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