(15日、第106回全国高校野球選手権大会2回戦 大社5ー4創成館)

 32年ぶりの出場でも、大社の選手は相手に負けない何かを持っている。8番園山純正の場合は、島根大会決勝でも決めたスクイズだった。「絶対、失敗しない自信があった」

 1点差に迫った直後の八回1死二、三塁。左打席に入った園山はバットを寝かせ、三塁側へ倒れながら真ん中のボールに食らいついた。「顔に当ててでも決めようと思った」。勢いのない打球が投手前に転がる。スクイズで同点に追いついた。

 タイブレークの十回は敵失で勝ち越した後、1死二、三塁で再び園山。今度も投手前にきっちり転がす。2打席連続でスクイズを成功させ、この回2点目を奪った。

 初戦で2年連続選抜準優勝の報徳学園を破った。この日対戦した創成館は、2年連続出場だ。強豪を前にしても、揺るぎない自信。その理由に、園山は「昭和デー」を挙げた。月に1回、雨の日は監督も一緒に泥まみれになって、ノックに食らいつく名物練習だ。「これを乗り越えた自分たちなら大丈夫と思える」

 どんな相手でも、展開でもひるまない。第3回大会(当時、杵築中)以来、107年ぶりの選手権2勝。白いタオルが雲のようにわきたつ一塁側アルプスへ、泥まみれのユニホームを誇った。(平田瑛美)

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