偉業は“思い出の地”で
この偉業を成し遂げた「場所」と「日づけ」。
それこそが、大谷選手を「物語の中にいる」と言わしめているゆえんだと感じさせます。
今シーズン最初で最後のマーリンズの本拠地での3連戦。
会場のマイアミの「ローンデポ・パーク」は、去年のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの決勝が行われた球場です。みずからが最後にマウンドに立って日本の世界一を決めた思い出の球場で、大谷選手は大リーグに新たな歴史を刻みました。
この日、大谷選手が1回にシーズン50盗塁に到達すると、相手の本拠地ながらファンからは大歓声があがり、大谷選手に打席が回るたびに観客が立ち上がり、球場全体が期待感に包まれたような雰囲気でした。
“9月19日”は特別な日
そして、この試合が行われた現地9月19日は、ちょうど1年前に大谷選手が2度目となる右ひじのじん帯の修復手術を受けた日です。
大谷選手は、その後ドジャースとプロスポーツ史上最高額で10年契約を結び、新しいチームでピッチャーとしてのリハビリをしながらバッターに専念するシーズンを過ごしてきました。
しかし、シーズン開幕直後に、これまで公私ともにサポートしてもらってきた水原元通訳の違法賭博を巡る問題が発覚。
今シーズン最初のホームランまでは9試合、41打席かかり、8月は打撃不振に陥るなど決して順風満帆なシーズンではありませんでした。
ドジャースに加入したあとには「活躍して初めてチームの一員になれる。そんな1年にしたい」と話していた大谷選手。
シーズンの途中での離脱と2回目の手術を余儀なくされた失意の日からちょうど1年後、プレーオフ進出を決めたチームの歓喜の輪の中心にいました。
大谷選手は去年7月27日、デトロイトで行われたタイガースとのダブルヘッダーの第1試合で先発として完封勝利を挙げ、第2試合で2打席連続ホームランという活躍を見せ、この日は投打の二刀流を象徴する「伝説の日」と呼ばれました。
「9月19日」はこれを超える新たな伝説として語り継がれる日になるかもしれません。
初のプレーオフへ
そして、10月からは大谷選手にとっては初めてのプレーオフの戦いが始まります。
ドジャースは先発ピッチャーに離脱が相次ぎ、決してチーム状況がいいとは言えません。
それでも大谷選手の「物語」の続きはワールドシリーズで再び歓喜の中心にいる姿だと思わずにはいられない「50-50」の偉業達成でした。
栗山英樹氏「物語として与えられるすばらしいHR」
大谷翔平選手がプロ野球の日本ハムに入団した時の監督で、投打の二刀流の選手として育てた栗山英樹さんは「これだけ多くの人に元気とか勇気とかを与えられるプレーができるのは良かったし、世界一になると信じて送り出したので、そういったものを証明してくれるというのは良かった」と話していました。
また「50-50」を達成した球場が、去年のWBC=ワールド・ベースボール・クラシックの決勝の舞台で栗山さんが監督を務めた日本代表がアメリカを倒して優勝を果たした「ローンデポ・パーク」だったことについては「色んなことをみんなにインパクトとして、物語として与えられる、すばらしいホームランだった」と話していました。
その上で「本当は80本くらい打って欲しかったというのはある。もっともっと上を見てきたからこそ、ああいう数字が出たので、もっともっとすごい数字を残してくれると信じている」と、さらなる活躍を期待していました。
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【11分間の一問一答】大谷翔平「51-51」達成で何を語った?
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