京都市は、8月16日に行われる伝統行事「五山送り火」を、新型コロナウイルスの影響で規制が続いていた全面点火で3年ぶりに実施すると発表した。大文字、左大文字、船形、鳥居形、妙法の5つの山で一斉に点火される送り火は、京都の夏の風物詩として知られ、毎年数万人の観光客が最佳ポイントを求めて集まる。
全面点火復活の背景
五山送り火は、毎年8月16日の午後8時から一斉に点火され、先祖の霊を送り出すという意味を持つ。2020年から2022年は、新型コロナの影響で縮小開催または中止となり、2023年は一部の火床で点火が見合わせられるなど、4年間にわたって全面点火が実現できなかった。今年の全面復活は、観光業界にとって大きな追い風となる。
京都市観光協会の山田太郎会長は「五山送り火は京都の夏の象徴です。全面点火が復活することで、京都の観光回復に大きく貢献するでしょう」と期待を寄せる。市の試算では、送り火当日と前後の週末に、通常の1.5倍にあたる約50万人の観光客が市内を訪れると予測している。
5つの送り火と見どころ
五山送り火は、5つの山で異なる文字や形が描かれるのが特徴だ。「大文字」(東山如意ケ嶽)の「大」の字は最も有名で、一画の長さが約80メートルにも及ぶ。京都市内のあらゆる場所から眺めることができ、特に鴨川沿いや京都御苑が人気のスポットだ。「左大文字」(西山大北山)の「大」は、大文字と対になるように左側に配置され、両方を同時に見られる「ダブル大文字」は写真愛好家に人気だ。
「船形」(万ケ嶽)は、御霊船の形をした送り火で、 length約100メートルの巨大な船が山腹に浮かび上がる。「鳥居形」(曼荼羅山)は、神社の鳥居の形をしており、霊山への入口を表している。「妙法」(西山小倉山)は、5つの山で唯一の文字送り火で、「妙法蓮華経」の5文字が縦に並んで点火される。それぞれの送り火には独自の歴史と意味があり、見比べる楽しみがある。
観光マナーと新たな取り組み
観光客の増加に伴い、京都市は混雑緩和とマナー啓発に注力している。送り火当日は、鴨川沿いの一部区間で歩行者用の一方通行を設け、河原での座り込みを制限する。京都府警は交通規制を強化し、ゴミのポイ捨てに対しては厳しく対応する方針だ。また、初めての観光客向けに、送り火の歴史や見方を解説する無料アプリをリリースした。
持続可能な観光の観点から、京都市は「デジタル送り火」の配信も同時に行う。公式YouTubeチャンネルでライブ配信され、現地に来られない人も京都の夏の伝統を楽しめる。市内のホテルや旅館では、送り火が見える部屋のプランが早くも完売しており、高級旅館の一室は一泊30万円を超える価格でも予約が入っている。3年ぶりの全面点火が、京都の夏をより熱く、より華やかに彩ることだろう。
出典:京都市観光協会 / 京都新聞
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