北米の新型コロナ治験プロジェクトが振るわず減損を計上した

エムスリーが26日発表した2024年3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比8%減の452億円だった。北米で新型コロナウイルス関連の治験(臨床試験)プロジェクトが振るわず、のれんなどの減損損失を計上したことが響いた。

売上高にあたる売上収益は3%増の2388億円だった。医療現場の人材支援をするキャリアソリューション事業が伸びた。

営業利益は11%減の643億円だった。セグメント別では海外事業の利益が31%減の116億円と落ち込んだ。減損計上について谷村格社長は「新型コロナ下で拡大していた体制を縮小するタイミングが遅れた」と説明した。製薬企業の営業を支援するメディカルプラットフォーム事業の利益は6%減の386億円だった。

ワクチン接種支援などコロナ関連の事業の売上高は23年3月期に243億円あったが、24年3月期は104億円まで縮小した。25年3月期は約30億円となる見込み。

25年3月期は売上収益が前期比12〜14%増の2680億〜2730億円、純利益は3%減〜2%増の440億〜460億円を見込む。

エムスリーは同日、企業の健保向けに特定保健指導などを手掛けるメドケア(東京・豊島)を子会社化したと発表した。エムスリーは福利厚生代行のベネフィット・ワンに対しTOB(株式公開買い付け)を実施したが、第一生命ホールディングスがより有利な条件で対抗TOBを実施したため、不成立となっていた。

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