【サンパウロ=水口二季】ベネズエラ最高裁判所は22日、7月28日の大統領選で現職のマドゥロ大統領が勝利したと承認した。票の集計結果に疑念が残るとの国内外の批判を受けて、政権側から依頼された最高裁が監査にあたっていた。
最高裁は決定に対する異議申し立ては認められないとしている。最高裁は政権の影響下にあるとされる。
地元メディアなどによると、最高裁のカリスリア・ロドリゲス長官は同日、選挙管理当局が提出した資料を確認し、集計結果の信ぴょう性を確認したと説明した。マドゥロ氏が3選を果たしたとする選挙管理当局の発表を追認した。
選挙管理当局は7月29日未明、マドゥロ氏が過半の得票率で勝利したと発表した。その後も結果の詳細を明らかにせず、野党が独自集計した結果と大きく異なっていたため、米国など複数の国が野党統一候補のゴンサレス氏が勝利したと主張していた。
国際社会の反発を受けてマドゥロ氏は最高裁に選挙の監査を依頼した。
最高裁は1月、国民から高い人気を得るマリア・コリナ・マチャド氏の公職資格を15年間剝奪する判決を下している。判決を受けてマチャド氏は大統領選への出馬を断念した。最高裁にはマドゥロ氏側の意向が反映されているとの見方が強い。
大統領選を戦ったゴンサレス氏は22日、「最高裁は偏向しており、問題を解決できないことを世界は知っている。危機を悪化させるだけだ」とX(旧ツイッター)に投稿した。
国連人権理事会も同日、「(最高裁と選挙管理当局は)独立性と公平性が欠如している」とする声明を出した。
今回の最高裁の決定後も、選挙の集計結果の詳細は公開されていない。最高裁は決定の中で「全ての(集計データや議事録などの)選挙資料は最高裁判所の管理下に置かれる」と説明した。
地元メディアによると、最高裁は決定に異議を申し立てた人物は次の選挙に立候補できないだろうとの見方を示している。
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