陸上の布勢スプリントが2日に鳥取のヤマタスポーツパークで行われる。国内有数の高速トラックとして知られ、これまで数々の好記録を生んできた。

さらに今年から大会カテゴリーがDに格付けされたことで、パリ五輪出場権獲得に大きく関わるワールドランキングを見据えても重要な大会に。予選を勝ち上がりA決勝に残れば、記録によるポイントに加え順位ポイントも加算される。

今大会も多くの国内トップ選手がエントリーし、今月末に控える日本選手権の前哨戦と言っていいメンバーが揃った。

パリ五輪参加標準記録10秒00の突破、そして日本新記録誕生なるか!?

坂井隆一郎選手

東京オリンピック直前の2021年6月、山縣亮太がフィニッシュラインを駆け抜けると鳥取の競技場にどよめきが起こった。掲示板に映し出されたタイムは9秒95、3年経った今も破られていない100mの日本記録だ。

注目の男子100mには、新旧エースが出揃った。2017年に日本人初の9秒台をマークした桐生祥秀(28、日本生命)と、昨年の日本選手権で初優勝を果たした坂井隆一郎(26、住友電工)が出場。桐生は2019年にこの舞台で予選10秒04、決勝10秒05と0台を二本揃えて優勝。坂井は2022年の予選で10秒02の自己新を出し、両者にとって非常に相性の良い大会と言える。

今シーズン、桐生は室内60mで日本新記録となる6秒53(当時)を打ち立て、ワールドランクでは42位(56位までがパリ五輪出場権を有する)と圏内に位置する。先月、東日本実業団陸上に出場した際には「ワールドランキングはこれからもっと変動すると思うので、布勢で参加標準を突破して日本選手権に臨みたい」と記録を狙うことを公言している。

この日行われた前日練習では、スパイクを履いてスタートから60mまでの走りを確認。「今シーズンの中では良い走りなんじゃないですか」とコーチ陣と走りの感触を確かめた。帰り際、子どもたちが大勢駆け寄りサインを求めると快く応じている姿もあった。

一方、坂井は今季のピーキングを日本選手権、パリ五輪に見据え、例年より始動を遅らせているためワールドランキングでは圏外にいるものの、先月のゴールデングランプリ陸上で10秒10を記録し好調を伺わせた。両者とも勢いに乗る中、参加標準記録を突破し9秒台、さらにその先の日本記録更新が期待される。

大激戦の代表争い!女子100mハードルにヒロイン集結

村竹ラシッド選手


昨年の世界陸上ブダペスト大会で、ひとりの日本人ハードラーが歴史を創った。準決勝で堂々の組1着に入り、日本人初の決勝へと進んだ泉谷駿介(24、住友電工)。決勝では世界の5位、今年のパリでは世界的にもメダルを有力視される注目のハードラーだ。

既にパリ五輪代表内定を決めている泉谷と同じ日本記録を持つのが、今大会に出場する村竹ラシッド(22、JAL)。昨年4月のレース中に肉離れをするアクシデントで世界陸上の出場は叶わなかったが、復帰後9月の日本インカレで泉谷の日本記録に並ぶ13秒04をマークし、パリ五輪参加標準記録も突破。

一概に比べられないが、この記録はリオ五輪(1位13秒05)、東京五輪(1位13秒04)で金メダルに相当し、世界でも“トップ・オブ・ザ・トップ”のタイム。その記録を日本勢2人が持つという、まさに世界レベルの種目となった。

今大会には村竹に加え、参加標準記録を突破している野本周成(28、愛媛陸協)、昨年のアジア大会金メダルでワールドランク出場圏内につける(25位、40位までが参加資格を有する)高山峻野(29、ゼンリン)らが出場。ハイレベルな勝負を制すれば、日本記録誕生も夢ではない。

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