(第106回全国高校野球選手権熊本大会1回戦 天草工5-4熊本二)
「何とかしてくれる」。七回裏2死一、二塁、天草工ベンチの期待を背負って小川亮和選手(2年)が代打に送られた。豪快な素振りを2度見せると「来た球を思い切って打つだけだ」と打席に立った。
チームはこのときまで、相手投手にノーヒットに抑え込まれていた。敵失などでようやく好機をつかんだ場面での代打起用だった。
1ストライクからの2球目、低めに落ちた変化球にバットを振り抜いた。打球は中前に抜けて適時打に。チームの雰囲気が一気に盛り上がり、流れを引き寄せた。
2度目の打席は同点で迎えた九回裏、先頭打者だった。緊張を、仲間の声援がほどいてくれた。「集中、集中」。その期待に応えようと、初球を再びフルスイングで振り抜いた。左翼手の頭を越える二塁打となり、代走の走者がサヨナラの本塁を踏んだ。
「次の試合もフルスイングでチームに貢献します」。笑顔がはじけた。(吉田啓)
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