(7日、第106回全国高校野球選手権東東京大会2回戦 成立学園15―3独協)
4年ぶりに立った神宮のグラウンドは、「野球の楽しさ」を思い出させてくれた。
都高野連に所属する初の女性審判員の佐藤加奈さん(37)は、7日の成立学園―独協の二塁塁審を務めた。審判デビューしたのは、2020年夏の独自大会。出産を経て夏の大会、4年ぶりに復帰した。「早く戻りたいといつも思っていた。戻れる場所があるのはうれしい」
高校時代はバスケットボール部。体育の教員を目指した日体大で女子軟式野球部に入り、野球の楽しさに目覚めた。大学卒業後、赴任した中学校で野球部の顧問を任され、指導の幅を広げるために、と始めたのが審判だった。
今は育休中。3歳の男の子と、1歳の女の子を育てる。慌ただしい毎日で、あっという間に当日を迎えた。動きは大丈夫かな、ルールは変わっていないかな……。そんなあせりや不安はグラウンドに入ると、すぐに消えた。
「負けたチームも最後まであきらめず、どっちの選手もすばらしかった。勝ち負けじゃない。野球っていいなあって思った」。ずっと待ち望んでいた試合。充実した2時間13分だった。
いずれは甲子園の舞台に立てたら――という夢を描く。野球への情熱と、つきない向上心。「現状維持のままだと、何もできていない自分がもやもやして。成長することが、自分のために必要なのかな」。この夏は、球審にも入る予定だ。=神宮(野田枝里子)
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